銀魂小説

□出会い
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そんな会話を交わした直後、俺はバッタリその問題児に会った。
夕暮れの廊下で黒の綺麗なストレートの髪をなびかせ、白い眼帯を付けた小柄な少年。服装は赤いワイシャツの上に指定の学ランを着崩しており、ファッションなのか教師に対しての反発を表しているのか、不良と呼ばれるに相応しいスタイル。そして、露になっている瞳は全てのものを寄せ付けない、鋭い眼光をしていた。昔の、松陽先生と出会う前の俺のような瞳。

「えーと…君が高杉君?」
「……」

ギロリと睨み、面倒臭そうに舌打ちをする。
どこにでも居そうな問題児だ。
校長が言うように喧嘩をしていそうだが、注意するほどでもないだろう。
典型的な問題児、という感じだった。

「というか、無視ですか。返事くらいしやがれ」
「…誰だ、アンタ」
「俺か?俺はお前の担任の坂田銀時だ。まぁ、3年になったらの話だけどね」
「担任、ねぇ…」

感情のない言葉を呟く。どうやら彼は俺のことなんて毛ほども興味がないらしい。
くるっ、と踵を返し進み出す。俺は慌てて引き止めようと声をかけた。

「ちょっ、高杉くーん?待ってって」
「…何か用な訳?」
「用ってまではないけど…今から帰るの?暇ならパフェでも食べ行かないか?」
「…そろばん塾あるから」
「そろばん塾?」

ほんの少し嬉しそうな声で紡がれた言葉に俺は耳を疑う。だってそうだろう。授業にさえまともに出ない不良生徒が自主的に塾に通い、それが嬉しいとばかりに声を弾ませたのだから。



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