銀魂小説

□会いたい理由と会えない理由
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「銀ちゃーん!今日は七夕ネっ!街行くアル!」

元気よく声を張り上げている神楽に俺は不機嫌窮まりない声で返事をする。
話し掛けるな、と声のトーンで表現してみたのだがあの大食い女王には伝わらなかったらしく、ソファに座る俺の腕を引っ張って立たせる。
俺は神楽を見下ろしてため息をついた。

「…神楽ぁ、行くなら新八と行ってこい。俺ぁ気分が乗らねぇのよ」
「何言ってるネ!笹に願い事かいた紙ぶら下げるだけで願いが叶うアルよ!?こんなお得な日はないネ!」
「いやそれは…」
「とにかく!願い事書きに行くアル!」
「ちょっ、オイ神楽…!」

俺は怪力娘に引きずられながら外へ連れ出されてしまった。



見事に晴れた空を見て俺はため息をついた。
これだけ晴れていれば彦星と織姫は無事に会うことが出来るだろう。
でも俺は会えない。
会うことが出来ない。
切ない想いが胸に広がる。

「あー会いてぇなぁ…」
「会えるヨ銀ちゃん」
「神楽…」
「銀ちゃんは結構愛されてるネ!…私には勝てないけどな」
「テメッ!一言多いし間違ってるし!俺のが愛されてる!」
「私の方が愛されてるネ!」

こんのっ餓鬼ィ!!
晋ちゃんは俺を一番に考えてくれてんだよ!
俺を愛してんの!!
そうだと言ってくれぇぇぇ(泣)

メンタル面で負けている俺は半泣きになりながら叫んでいた。
すると現地合流する予定だった万事屋ツッコミマスターこと新八が物凄い勢いで近づいて来た。

「こらぁぁぁ!テメェら街中で、んな騒いで迷惑かかってんだろぉぉぉ!!」
「お前がなッ!!」
「そういうお前の声がデケェ」

ばしっ、と叫んだ神楽の頭を叩く。
叩かれた神楽は頭を押さえ、痛いアル、と俺の事を睨んできたが無視だ。
全力疾走で来た所為か、新八は息を切らしながら器用にため息をついてみせた。
完全にツッコミポジションからオカンポジションに移行している気がする。

「誰がオカンポジションだ!!大体銀さん達は周りの迷惑を考えた事ありますか!?」
「うわっ説教はじめたアル」
「アイツ万事屋のオカンポジション狙ってやがるな」
「あーもう!アンタらの相手すんの疲れるわッ!!」



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