銀魂小説

□酒の誘惑 取り返しのつかない真実?
3ページ/3ページ









スパーンッと勢いよく襖が開き、高杉は一瞬目を丸くさせたが開けた人物が銀時と気付くと笑みを浮かべて手招いた。



「ぎんときィ、おせーよぉ。早くこっちこいよー」



呂律の回らない口調で銀時を呼ぶ高杉はすこぶる機嫌がよく、普段は見せない笑みをこれ以上ないくらい晒している。
しかし、高杉はそれ故に気づかなかった。
銀時が俯いた顔を上げ、アクションを起こすまで事の状況を把握できなかった。
顔を上げた銀時が足に力を込め、地を蹴り駆け出す。
酔っ払って頭の回転が遅くなっている高杉はよく分からず銀時を見つめ、被さってきた銀髪の男の重みに漸く彼が何をしたのか理解した。



「ぎんとき・・・?」



押し倒す形で抱きついている銀時を見た高杉は酔いの為に赤くなった頬を別の意味で赤くさせて慌てた。
もぞもぞと動く銀時は抱き心地のいい場所を探しているようだ。
酒の為に敏感になった身体は銀時が動く度に快感を捉え、甘い声となって高杉の口から発せられる。
時々銀時の熱い息が高杉の頬を掠め、声を出さないように我慢するも耳に息がかかった瞬間、甲高い声が上がった。
それに驚いた銀時は身体を手で支えて高杉を見下ろすが、次にはへにゃりとした笑みを浮かべて再び華奢な身体に抱きついていた。



「あ、ン・・・・・・ぎ、とき・・・息、がぁ・・・」
「・・・たかすぎ、かわいい」



もふもふと犬のように顔を擦り付けてくる銀時の柔らかな銀髪が更に高杉の身体を火照らせていく。
あっあっ、と声を上げる高杉を蚊帳の外で見つめる沖田と土方はどちらも酔っ払って今の状況がよく分かっていない。
取り敢えず盛り上がる二人を煽るようにやれー、だのいいぞー、などと声を上げながら酒を飲み続けていた。
室内に酒の香りと高杉の色香とが漂う。
トロトロになった高杉の瞳が獣のような目をした銀時を捉え、熱い息を吐き出した。
銀時の中心がドクッと波打ち、熱が集まる。
焦がれたように服を脱ぎだした銀時に高杉も熱い、と一言呟いた。



「脱がせて、ぎんとき」
「・・・手、あげろ」
「ん」



どうにもおかしな展開に発展しているのだが、酔っ払いたちはそんなことに気付かない。
むしろ脱ぐ二人を見て、自分達も暑いと気がつき、脱ぎだす始末だ。
酒気が立ち込み、皆の思考を犯していく。
酒を浴びるように飲んだ4人はその後糸が切れたように倒れこみ、朝までぐっすり眠りについたのであった。








ことの一部を思い出した高杉は痛む頭を押さえ、近くにあった着物を羽織り、隣で爆睡している銀時の肩を揺らした。
顔色が悪いのは酒の所為か、はたまたこれまた爆睡している真選組がいるからか、それとも繋がらない記憶を危惧してか。
兎に角銀時を起こし、この状況について彼の覚えている範囲で話を繋げなければなんと言うか、物凄く不安なのである。
全裸で横たわる男たちも妙にすっきりした下半身もズキズキと痛む腰痛の原因も、分からないことだらけで嫌だった。



「(いいから早く起きろよおおおおぉぉぉ!!)」
「・・・ぅ、ん」
「銀時!」



のろのろと起き上がった銀時は目を擦り、 慌てふためく高杉を見て首を傾げた。



「あ・・・?お前なんで全裸?・・・って、俺も全裸ァ!?」
「全裸は分かってる!理由ッ思い出せ!!」
「えぇー・・・?理由なんて覚えてねーよ。お前が真選組と二階に上がっていったとこまでしか・・・」
「俺・・・コイツらと二階に上がっていった記憶すらねぇんだけど・・・」
「「・・・・・・・・・」」



頭を抱えた二人は取り敢えず着衣を整え、一階に降りた。
店内を見渡すが店主の姿が見当たらない。



「あれ・・・?大将いねぇの?」
「くそ・・・あったま痛ぇ・・・」
「・・・しん、すけ?」
「万斉!おまっ何でそんなぐったり・・・って酒クサッ!」
「大将に大量の酒を飲まされたでごじゃるぅ・・・」



ぐでんぐでんに酔っ払っている万斉は一階にある座敷でぐったりと倒れこんでいた。
その周りには二階と同様に酒瓶が転がっている。そして店主も転がっていた。



「大将ぅぅぅ!!酒に滅法強いって評判の大将ぅぅぅ!!」
「高杉・・・?もしかしてまだ酔ってる?なんかキャラ違うよ?お水持ってきてあげるからそこに座って待ってなさいッ」



絶賛キャラ崩壊中の高杉を座敷に座らせ、銀時は厨房へと走った。が、途中で壁に手をつき激しく嘔吐した。
二日酔いに激しい運動は禁物である。胃が揺られ、逆流したようだ。
それに驚いた高杉は極力静かに銀時に駆け寄った。
しゃがみ込み、銀時の顔を覗き込む。



「大丈夫か、銀時!」
「うぅ・・・なんかラジオ体操の時とデジャヴってる・・・ッ」
「は?意味わかんねぇよ。兎に角水持ってきてやっから」
「待って!」



ぐいっ、と着物の裾をひかれ高杉は辛そうにしている銀時へと顔を向けた。



「行くな・・・ッ、そばに・・・居ろよ」
「あ・・・ぎんときぃ」



突然周りが少女マンガ風に煌きだす。
銀時は恥ずかしそうに目をそらし、高杉は銀時の行動にきゅん、と胸を鳴らして見つめている。
実は銀時もどこか下半身がすっきりしていてもしかしたら・・・、と高杉を気にしていた。同様に高杉も銀時のことが気になっていた。
そこに銀時のあの行為と高杉の表情である。
意識し合う二人が互いの思いがけない行動に完全に心奪われた。
異臭の漂うど真ん中でハートを飛ばし合う二人の姿は滑稽だが誰も二人を嘲笑うものはいない。
何故なら万斉と店主は酒に溺れて眠りについているし、真選組は未だ二階に居る。
二人だけの空間が徐々に広がっていき、初めて恋人と朝を迎えた学生のように照れくさそうに笑うと手を繋いで店から出て行ったのだった。


その後、目を覚ました土方と沖田は自分達の状況に顔を青くさせ万斉に気付くことなくそそくさと店を後にした。
そして最後まで店に残っていた万斉は店主に渡された請求書に目を剥き、ATMへと走るハメになったのであった。








〜おまけという名の真実〜

「晋ちゃ〜ん?どこいくのぉ?」
「んぁ・・・トイレ」
「ひとりでだいじょうぶかぁ?」
「へいき・・・イダッ!」
「ぎゃはははッ!だっせー!つぶかってんじゃーん!」
「だまれてめぇ!ころすぞぉ!」
「しかたねーから銀さんがつれてってあげるねー」
「こどもあつかいしてんじゃあねーよ!」
「いーくぞぉ」
「ぎ〜ん〜・・・」
「なんかよぉ、てめぇとこうやって飲むのひさしぶりだよなぁ」
「そーだなぁ」
「たまにはよぉ、アイツらも呼んでぇバカ騒ぎしてーなぁ」
「くくっ、そーだなぁ」
「バカ本にたけぇー酒おごらせよーぜ」
「たのしみだなぁ」
「そしたらよぉ・・・昔みたいに・・・」

ドカバタバタバタッ

「・・・んぁ?」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「晋ちゃんんんん!?何階段から落ちてんのぉ!?」
「・・・・・・腰うった」
「涙目になってんじゃねーか!大丈夫か!?」
「・・・・・・・・・もれそう」
「ちょっ、まっ、トイレいきますよー!」

バタバタバタガチャバンッ

「・・・・・・ふはぁ」
「ま、間に合ったか・・・っ、俺もトイレっ」

二人の下半身のすっきり感→トイレしたから
高杉の腰痛の理由→階段から落ちて腰を打ったから



終わり



終始意味不明でお送りしました
2010/04/22 潤
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ