銀魂小説
□いつか
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「よォ、副長さん…アンタも月見かぃ?」
「!!高杉…ッ!?」
俺は咄嗟に刀に手をかける。だが、刀が鞘から抜けることはなかった。
【いつか】
満月の綺麗な夜。
俺は散歩がてら見回りに出掛けていた。
本当に綺麗な月だった。煌々と光る月に目が離せず、後ろにいる人物の気配にも気付かなかった。
「よォ、副長さん…アンタも月見かぃ?」
「!!高杉…ッ!?」
俺は咄嗟に刀に手をかける。だが、刀が鞘から抜けることはなかった。
止められたからである。柄と俺の手の上に押し当てられた高杉の綺麗な手によって。
動けなくなった。
力では俺の方が断然体格もいいから勝てるはずなのに。
触れられている辺りからジクジクと熱が広がる。
俺は高杉を睨み上げた。
せめてもの抵抗である。
「オイオイ…折角の綺麗な月夜に抜刀たぁ、ムードがわからねぇようだなぁ、鬼の副長さんは」
高杉がククッ、と笑う。
高杉の笑いに力が抜ける。戦う気にもならない。
高杉もそれを感じ取ったのか、俺の手の上から手を離した。
俺も続くように柄から手を離し、高杉に話しかけた。
「…お前、何でこんなところ歩いてやがる。過激派テロリストのクセに」
「なぁに、テロはお休みだ。こんな月の綺麗な夜に花火たぁ、不粋じゃねぇか」