リクエスト

□風邪を引いたら騒がず安静に
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前略、風邪を引きやすい季節となりました。
いかがお過ごしですか?


【風邪を引いたら騒がず安静に】


高杉のことだから風邪を引いていると思ってこんな手紙を出しました。
とどのつまり、ねぇ今どこにいるn


ビリビリビリッッッ!!


高杉は自分宛に送られてきた手紙を最後まで読まずに破り、近くにあったゴミ箱に投げ捨てた。
イライラと声を上げる。


「んな手紙送っておきながら何でテメェはこんなところにいやがんだァァァ!!」


びしっ、と指を指し自分の部屋にいる男に対して抗議の声を出す。
その声はガラガラと掠れていた。
男は驚いたように目を見開いていたが、その目を笑いに変え、ヘラリと言葉を紡ぎだす。

「何でって、心配だったからに決まってるじゃん」
「いや、お前手紙にどこにいるのって書いてたよな?!書いてたよ!!なのに何で場所分かってんだよ!!?」

きめぇ!!と本気で嫌悪感を表に出している高杉を見て、男――銀時は何の疑いもなく一つの答えを高杉に与えた。

「愛の力ってやつ?」
「出てけェェェ!!ついでにあそこのゴミも出してきてッ!!」

部屋の隅においてある色つきの大きなゴミ袋を指差し、ついでに銀時を殴る。
殴られた銀時はいてぇ、と口を尖らせ示されたゴミ袋を見る。
何と言うか、こんな大きなゴミ袋が部屋の隅においてあるのかが甚だ疑問でならない。
というか、気になっていたのだがあのゴミ袋先ほどから鉄の臭いがしている。
鼻につく、鉄臭さ。
そして、ちらりと見える人の形のような影。

「(ちょっと待ってよ・・・あれって・・・)」
「おい・・・いいから捨てて来い。そしてそのまま帰ってくるな」

中身共々な、と高杉は詰まった鼻で笑いながら吐き捨てた。
その言葉に自分の末路とも思えるゴミ袋の中身を想像し、銀時はガタガタと肩を震わせ、青ざめた。

「あ・・・あの・・・あの袋の中身って・・・」
「あ・・・?・・・あぁ、突然『お医者さんごっこでござる〜』とか何とか訳わかんねぇこと喚きながら入ってきたからな・・・一瞬だった」
「いっ、一瞬って・・・!」
「俺ぁ、また子の早撃ちがあそこまで速いとは思わなかった」

銀時はあえて『お医者さんごっこ』には触れず、一瞬という死へのカウントダウンの原因に反応した。
高杉は、あれは凄かったぜ、とその時のことを思い出しているのか少年のような表情をしている。

「(つまりアレですよね。俺も変なことしたら後ろの彼女に袋の中身みたいな状態されるってことだよね?)」
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