リクエスト

□本人の意見を尊重させましょう
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彼らは前々から3人が3人とも高杉のことが好きだということで反発し合っていた。
だが、鈍感な彼はこんなにもアプローチをしているにも関わらず、一向に気づく気配がない。
ならばここではっきりと気持ちを伝え、デートに誘おうと思ったのだ。
3人同時に行けば、必ず誰か一人を選ぶだろう、そう思った3人だったのだが、彼らは馬鹿故に気づかなかった。
高杉が3人ともを振るという最も有り得るであろう、結果に。
そして3人は見事に撃沈したのであった。

「何でだよ、高杉ィ!誰か一人でいいから選んでくれよ!」
「そうでござる!晋助が誰か一人の名を呼ぶだけで解決する!」
「・・・って言われても」
「晋ちゃん男に興味は?」
「一切ありません」
「好きなタイプは?」
「ボンッキュッボンのグラマラス美女」
「・・・だそうだけど。君らに勝ち目あるの?男にゃバベルの塔が立ってるだけじゃん。モロッコで工事して出直してきなさい」
「ちょっ、それはあんまりじゃ・・・」

意外なところで高杉の好みが判明し、銀時がそれに乗るように3人に提案する。
だが、3人はその提案に乗るわけにはいかなかった。
というかむしろ、3人は高杉に乗りたいと思っていた。
その為、高杉に好かれたいからと性転換をするわけにはいかないのだった。

「愛があるなら性別だって変えてみせろよ。男だろ?」
「いや、その愛があったら女になっちゃうから。それだけは御免被る」
「おいおい、お前らの愛が試されてんだぜぇ?そのくらい乗り越えろよ」
「そこは乗り越えちゃいけないと思うんですが・・・ということで」
「?」

どこからともなく沖田が看板を取り出す。
そして何の感情も篭らない声色で淡々と言葉を紡ぎ出した。

「チッチキチ〜〜。第一回高杉さん争奪戦!高杉さんの心と身体を奪えるのは誰だ?!ドキドキ鬼ごっこ大会ィ〜〜」

「「何でだよッ?!」」

突然の大会宣言に銀時と高杉は同時に叫んだ。
沖田はそのことを微塵も気にせずルールの説明をしだす。

「ルールは至ってシンプル!高杉さんを一番に捕まえた人が高杉さんを手にすることが出来るのである!」
「ちょっ、何勝手に決めてんだ!」
「出来るのである!」
「強制?!」

有無を言わさぬ物言いに高杉は嫌だとばかりに顔を歪ませる。
しかしそこは沖田である。
高杉を言いくるめる、とっておきの言葉を持っていた。

「高杉さん?これは裏を返せば、高杉さんにとってとても嬉しいルールですぜィ?」
「・・・え?」
「1時間。その時間内だけ俺たちの誰かに触れられなければ高杉さんの一人勝ち。俺たちも負ければ今の想いをすっぱり捨て去りまさぁ」
「・・・・・・」
「逃げ切れば。逃げ切ればいいんでさぁ。ね?やりましょうよ」
「・・・いいだろう。やってやらぁ」
「おい、高杉!本気か?」
「勝てばいいんだろ?簡単じゃねぇか」
「流石高杉さんでさぁ。話が早いってもんだ」

沖田がにっこりと笑って言う。
高杉は願ってもないチャンスに内心手を鳴らす。
3人の思いに気づいていなかったとはいえ、正直彼らに付き纏われてげんなりしていたところだったのだ。
これで邪魔者が消えると思うと高杉は小躍りしたくなるほど嬉しかった。

「それじゃあ、ゲームは次の授業の1時間。授業開始と共にゲームスタートでさぁ」
「おう、わかった」
「じゃあ、土方さんたちも参加しますよね?」
「当たり前だろ」
「拙者もだ」
「じゃあ、高杉さんは今のうちに隠れて下せィ。鬼ごっこですから、見つかっても触られなければOKですから。それと隠れる場所は学校の敷地内だけですぜィ」
「あぁ」
「それから、俺たちの他にも参加者が居ますから。くれぐれも気をつけて下せぃ」

高杉は返事の代わりににぃ、と口元に弧を描く。
沖田も笑うと、それを合図にしてか高杉は屋上を後にし、校舎内へと消えていった。


10分後、ゲームの始まる鐘の音がし、土方たちが一気に屋上から出て行く。
それを横目で見ながら銀時は殻になったジュースのパックをジュッと吸った。



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