Novel2

□幸せを
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先輩には好きな人がいて。
どなたかはよくわからないですけど、多分先輩の調子が良い時によく部活に来て、先輩に労りの言葉をかけていらっしゃる方だと思うのですが。

好きな人が居るから気持ちなんて伝えても意味ないかもしれませんけど、僕は色んな事、先輩に沢山教えてもらったから。
いつでも先輩は僕に優しく教えてくれて、そっと背中を押して来てくれたから。
諦めないで前を向いて頑張って努力すれば、いつかは実を結ぶって。

だから僕は、先輩に気持ちを伝えようと思って、練習の後、先輩を呼びました。

「ぼ、僕、先輩の事が、…その、」

緊張して震える声を一生懸命に絞り出し、先輩に今の自分の気持ちを伝えて。

すると先輩はありがとう、と僕の頭を撫でてくれました。
撫でてくれる先輩の体温が、とても心地良くて。
ずっと感じていたいなぁ、なんて思ってしまって。

でも、すぐに先輩の手が僕から離れていきました。

答えはそれでした。
わかっていた事ですが、やっぱり、「いいえ」だと言う事で。

フラれてしまいましたが、でもよかったです。
ちゃんと気持ちを伝えられて僕は幸せでしたし、何よりこれでちゃんとこれからは先輩の事を応援出来るのですから。

…僕、ですか?
僕はそれでいいんです。
むしろそれを望んでいたと言いますか…。
とにかく僕は先輩を応援したりして、先輩の喜ぶ顔が見れれば、それでいいです。
だから男として見てもらえなくても恋愛対象として見られていなくても、僕は満足なんです。
先輩さえ喜んでくれたら。

僕はそれだけで幸せ。



ねぇ先輩。
先輩とその好きな人はいつかきっと幸せになれますよね?

僕、とってもとってもとっても、応援してますから。
その人と上手く、これからの道を、歩んでいってください










先輩の笑った顔、僕、大好きです。
だからこれからも沢山。
沢山沢山笑って下さいね


20100801
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea





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