Novel
□黒い笑顔と、
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なんだよローズクイーンって。
そんなんなくなりゃいいのによ。
ローズクイーンだからっていう理由かなんか知らねぇけど、前よりさらにこいつに群がる男が増えた気がする―いや、気がするじゃない、確実に。
そんなのなくたってお前はお前なのにな。
お前は、変わっちゃいないのにな。
変わったのは、お前を取り巻く輩だけだ。
お前は確かに可愛いし頭も良い。
おまけに気配りも出来て魅力的だ。
人気が出るのはわかるけど、なんかちょっと俺は嫌だな。
俺だけのものになりゃいいのによ。
はぁーあ、どうすっかなぁ。
畳みの上に寝転がる。
そろそろあいつが来る時間だ。
『お疲れ様ー!』
噂をすればなんとやらだ。
『あれ、どうしたの?』
―…あぁ、やっぱり可愛いな
「いや?別になんもねーけど」
『だってこっち見てる』
ま、可愛いけりゃ嫌でも見るだろ
「あー…」
だから見るなって方がおかしい。
『何?』
うん、決めた。
「俺のもんになれ」
悪い虫がお前の周りをうろちょろしてんだ。
『…へ?』
その虫がお前に悪戯する前に手に入れておかないと。
「だから、俺の彼女になれ」
本当は卒業してから言うつもりだったけど
『え、えと…?』
ぐずぐずしてっとどっかの野郎に掻っ攫われそうだし。
っていうかだいたいよ、
「お前がローズクイーンなんかになるからいけないんだ」
『…そ、それは』
私の意思じゃないよ、なんてつぶやくから俺はお前の唇を塞ぐ。
答えはどっちだ?
付き合うのか付き合わねぇのか、どっちだって言ってんだ。
黒い笑顔と、
付き合わねぇなんて言わせねぇけどな
20100701
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea