Novel

□冷たい砂の
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身体中痛い。
何処が一番痛いのかわからない位痛みで身体が麻痺してる。
やっぱりちょっと殴られすぎたみたい

あと痛い理由はあれか、
SRから投げ飛ばされたからか

投げ飛ばされた後、すげぇ音がした気がする

もしかしたら廃車、かも…

うわぁ…絶対コウ怒る。
すげぇ形相で怒る。
許してくれ、なんて言わないけど
ゴメンな、コウ。

身体中痛い。
頭も腕も、なにもかも。
何処が痛いかわからない
―でもそんな痛みなんかどうだっていい



***


…綺麗、だな…

このまま死ぬのもありかなって思う
だってあまりにも星が綺麗だから

身体を起こそうとしても無駄みたいだ
指一本ぴくりとも動きやしない

まだ動くのは、頭の中くらい

冷たい地面の上でぼんやり星を見てたら思い出すのは、やっぱりあいつとコウの事で。



あいつは、コウが好き

やっぱりあいつには、コウじゃなきゃダメなんだ
俺じゃダメ。
俺じゃ代わりにはなれない
あいつの隣が許されるのはコウしかない。俺が居る場所なんかない。

でも、コウなら任せられる
コウになら、あいつを幸せに出来るから。


―誰かを幸せにするなんて俺には無理な事だから



このまま死んでも、後悔なんかしない

だって
父さんと母さんの元へ連れていってくれるわけでしょ?
むしろやっと願いが叶ったって感じじゃん?

やっぱりサクラソウはちゃんと想い描いた所へ連れていってくれるんだな

流石妖精の鍵だ
やっぱり本当だったんだ


コウにはあいつの所に、あいつにはコウの所に、俺は父さん達の所に。


うん。
これでいい。
これが一番良いんだ。
元通りがなんなのかわからないけど、なにもかも元通りになる気がする。

俺が居ない方が、上手く歯車が回る。

誰かが不幸になる位なら俺は幸せでなくたっていいから。



なぁ、でももし最期にもう一つだけ願いが叶うなら。
もう一つだけサクラソウが願いを叶えてくれるなら。


そんな事許されないかもしれないけど、
俺はあいつに一つだけ言いたい事があるんだ


何ってほら、





コウの事、よろしくって













最期に見たのは

空から溢れんばかりの、星屑



20100703
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea





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