Novel

□理由なんてない
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前から、後ろから、何度も何度もタマの彼女を犯す。
嫌だ、やめて、そう呟きながらオレを感じていたタマの彼女は、今さっき意識を手放したばかり。
意識のない女を抱くのは趣味じゃないけれど、やめられないのはどうしてかはわからない。

いい加減止めるか。

ずるり、と彼女から自身を抜く。

べたべたする身体。
気持ちが悪い。


***

ぴしゃぴしゃと降る沢山水の粒を―…シャワーを浴びながら感じるのは紛れも無い空虚な気持ち。




これを見たらタマはどう思うだろう。
まぁ怒るだろうな、当たり前だけど。

でもどうでもいい。
どうせオレは時機にまたあっちに帰るし。

この子とヤッたのは事実。
バレたらバレただ。



この子は善人過ぎる。
ちょっと悩みがあるから聞いてくれって言ったら躊躇いもなく来てくれた。


別に悩みなんかなかった。
ただ会いたいと思ったから。ただ会いたかったから呼び出した。
そしたらいつの間にかセックスしてた。それだけ。

し始めた理由なんかわからない。
いつの間にか彼女の服を脱がし愛撫を施し彼女を快楽へ誘った。

彼女だって、最初は嫌がってくせに最後はオレにヨガってた。

だからそれほど悪い事をしたとは思ってない。


ただ、この子を好きかと聞かれれば何も答えられない。
よくわからないんだ。

ただ、欲しかった。
この子が欲しかった。

自分で言うのもおかしな話だけど、昔からオレは女に困った事はない。

だけどオレにはそこらへんにいる女はどうも合わないらしい。

欠落してるんだ、何かが。

多分こう思うのはあれだ、姉貴が完璧過ぎたからだ。
オレはシスコンなんかじゃないけど、完璧な女と一緒に住んで生活してれば自然と目が肥える。

どの女も姉貴には敵わない。

でもタマの彼女には、ちょっと姉貴に似てる節がある。
いや、似すぎてる。

そこらへんに居る女とは違う。
何も欠落してはいない。

だからなのか?
この子に興味が沸くのは。

だからオレは、この子を求めたのか?

こっちに帰ってきた日、タマと久しぶりに会う事がなければこの子とこうやって出会う事もなかった。


オレは欲望のままに求めただけだ。

だけど何もない。

心は何も満たされない。











そんなの、俺が知りたい。
俺はちゃんと、誰かを好きになれるのか?


20100704
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea





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