Novel

□卒業なんて
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―…隣には、佐伯先輩が。


佐伯先輩はかっこよくて、頭もよくてスポーツも万能でその上性格も良い。
まさに、才色兼備。
僕とは、雲泥の差。まぁ僕だって成績とかスポーツとか一通り熟してはいるから雲泥ってわけじゃないんだろうけど。
でも実際、そんな感じの表現が一番しっくりきていた気がする。
だから僕が、どんなに頑張っても、どんなに努力しても佐伯先輩みたいにはなれなかったんだ。

佐伯先輩は、先輩が好きなんだろうな。
いつも先輩と一緒に居たし、先輩と居る時の佐伯先輩はなんか別人みたいだったし。
なにより佐伯先輩の先輩を見る目が、惚れてるとしか思えなかった。
きっと先輩も…佐伯先輩みたいな人のが好きなんだろうな。
僕と居る時よりずっとずっと楽しそうだったから。

先輩は優しくてその上可愛いいから、佐伯先輩みたいな人と居るのがお似合いなんだ。

そう、僕なんかより。

だから、
だから僕は隣に居ちゃ、いけない気がする。


大丈夫、大丈夫。
僕なら、大丈夫…。


『夢を抱き、漕ぎ出そう、大海原へ!』
なんて、校長が言ってたっけ。

卒業、かぁ。
僕が入学してからもう二年が経つんだ。今日、お世話になった先輩方が、卒業するのだ。
だから、佐伯先輩も卒業。そして、先輩も。

先輩には佐伯先輩が相応しいんだ。
僕、じゃない。

あぁ、嫉妬なんて格好悪い…


きっと…先輩を、幸せにしてくれるって信じてる…


先輩が幸せならそれでいいじゃん。

―例え幸せしてあげるのが僕じゃなくても

先輩は笑顔が一番じゃないか。

―例え笑顔にさせるのが僕でなくても



だから、だから







悔しい、わけじゃ、ない…





20090102
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea





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