Novel

□銀の雫
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高校卒業してからもう一年経つ。
大学生活にもそろそろ慣れてきた。
無事に一流大学にも入れたし、それなりに友人だって出来たし、今の所単位だって落とす事なく有意義に暮らせてる。(まぁ今日の講義のテストがうまくいけばの話しだけどね)

だから不満なんてないはずで。

だけど、何か足りない。

まぁ、それがわからないから今日も僕は、大学へ向かう為に駅のホームで電車を待つ。

最近の駅は便利になったと思う。
僕が高一位の時はまだ定期を切符のように改札に通していたのに、それが今じゃ青く光る楕円に定期かざすだけ。
たった一、二年だけど、どんどん変化していく世界。
僕も少しは成長してればいいんだけど、ね。

*

ガタン、ゴトンと揺れる電車の中からザアザアと降りしきる雨を見つめる。

―今日は雨、か…

雨を見るといつも…、高校時代に何度か街で出会ったはね学の彼女を思い出す。

彼女と最初に出会ったのも、雨の日だったな。
突然降ってきた雨を凌ぐために、屋根の下で雨宿りしていたら、突然彼女はやってきて。

第一印象はすごく可愛い子だなって、
優しくて素直なそうな子だって思った。
雨をくぐって濡れた短めの髪を揺らす彼女。

彼女に良いところ見せようと思って"傘買いに行くよ"なんて言ったのに、まさか"わたしも行く"だなんて返事が返ってくるなんて思わなかったな。
その時、他の女の子とはちょっと違うなって思った。

仕方ないから二人で駅まで走って。だけど残っていた傘は一本。
素直に買ってくれればいいのに、なかなか言うこときいてくれなくて。
ああだこうだと言い合ってるうちに傘は売れちゃってさ。

素直じゃないというか、意地っ張りというか。
まぁそこらへんが彼女の魅力なんだと思うけど…。

きっとあの時彼女に"意地っ張りな女の子"なんていうレッテルを貼ってしまったんだろうな。

それからバスの中で逢ったり、バーガーショップで逢ったりさ。

なんていうか偶然を通り越しているような。
女の子みたいな言い方だけど…ドラマみたいな感じだった。



彼女は今いったい何をしているんだろう

彼女は今僕が見てる雨を見て何を思ってるんだろう。

最寄駅に着いた事を告げるアナウンスに気づきとっさに電車を降りる。


彼女に会えたら、
いや。
…彼女に、会いたい







(神様、どうかもう一度)


20091206
一片一檎
Hitohira Ichigo
*
Afternoon tea





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