ガロファノの花弁
□暗室処理作業
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「そうカッカするなよサヴァちゃん。血圧上がるぜ?」
「うるさいっ!戯言は良いから離せ!俺はどっかの飲んだくれと違って仕事があるん・・っ!」
ぼやけた視界でもエリオットの顔が接近したのがすぐに分かった。固く口を閉じ、顔を背けたサヴァにエリオットは苦笑した。
「おいおい、まだ何もしてねーだろ」
「何かするつもりだったんだろうがっ!」
「まぁ、そうだけどな」
不意打ちに唇が重なる。次いで頬にもキスをされ、サヴァは露骨に顔をしかめた。薄く頬が染まったのは憤慨で興奮しているからだろう。顔を逸らし、エリオットに聞こえるように舌打ちをする。
「このセクハラ上司!通報するぞっ」
「恋人同士のはセクハラって言わねぇよ」
「ふざけるな!お前と俺は何でもない関係だろう!?」
「関係あるし〜お前は俺の正妻だし〜」
「腹の立つ言い方するな!」
昔からエリオットと付き合いのあるサヴァは、彼の性癖をとうに理解している。ただし、付き合わされるのは堪らなく不愉快だった。
「んな冷たい事言うなよな〜うう、所属した時の可愛らしさはどこに行ったんだ〜」
「そんなの消えうせたわ!さっさと離せ!まだ終わっていないんだ!」
「お前をコッチ系に引っ張った時の初夜の初々しさが懐かしいぜ・・・あの時のお前は言ってくれたなぁ、"お願い優しくして"ってよ・・・」
「そんな事言ってない。妄想から戻って来い」
ぐいぐいと腕に力を込めてみるが、卓上からは起き上がれそうに無い。サヴァは苛立ちながら舌打ちをした。サヴァの言葉にようやく現実に意識を向け直したエリオットは、取り繕うように話を続けた。
「うーん・・・まぁ、なんだ。最終的に俺が言いたい事はな・・、お前疲れてるから、今夜は俺が癒してやろうと思うんだ。だから素直になってくれって言うか・・あの蜜月の時みたいになってほしいと言うか・・・」
「喜べ、窒息死か失血死か溺死を選ばせてやる」
「そう怒るなよHoney。強いて言うなら俺は腹上死が理想なんだが〜・・」
「・・・・・・。」
「悪い」
沈黙は流石に嫌だったのか、すぐに謝ったエリオットは両手でそれぞれ押さえていたサヴァの手を右手だけで押さえるように卓上に固定し直し、彼のトレンチコートの腰にあるリボンを解いた。そのままコートの前を開くとスーツがあらわになる。サヴァの第一ボタンまでしっかりと止められているシャツにエリオットは口笛を吹いた。