ガロファノの花弁
□子犬と情報屋
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「Bingo!!」
歓喜の声と共に、森林に爆発音が轟いた。
濛々と立ち込める土煙から、頭の吹き飛んだ蜘蛛とも蠍ともつかぬ巨大な虫が黄色い体液を撒き散らして大地に倒れ伏した。八本の節足の内、3本を何かに切断されたように失っている。
「やりましたね。ルカ君」
「おうよっ!」
ルカは駆け寄ってきた竜胆に親指を立ててウインクをしてみせる。竜胆は破顔すると手に持っていたクナイを腿のホルダーに収めた。
「蜘蛛は嫌いだったから、吹っ飛ばせてスッキリしたぜ!森ん中なら副隊長も文句いわねぇし」
「あは・・謹慎処分は免れたとは言え、やり過ぎると怒られてしまいそうですね。ルカ君は爆弾が好きなようですから、仕方ないですけど・・・」
「あたりめーだ!爆弾は男のロマンだろ!ドッカーンと吹っ飛ばせるんだぜ?最っ高だ!」
「程々にしてくださいね」
先日のルカの規約違反については、副隊長は謹慎処分を求めたものの、最終的に隊長の判断で不問との判断がされた。実際は隊長であるエリオットが二日酔いで判断を面倒臭がり、上層部に連絡すらしなかった為である。
「本当、隊長には感謝しなくちゃな!」
「副隊長は御立腹だったようですけどね。隊長がそんな雑な判断でどうするんだ!とか色々と隊長を叱っていたみたいです」
「副隊長は頭が硬ぇんだよ。隊長みてぇに気楽に生きてりゃいいのに」
「あはは・・気楽にって言っても、副隊長にはキャバレーとか行ってほしくないです・・」
エリオットの様に享楽的なサヴァを想像して苦笑した竜胆は、襟のマイクに電源を入れ、本部へ連絡を入れる。
「ホセさん、任務完了しました。上層部に報告をお願い致します」
「"ん・・おう、おつかれさま〜"」
「ありがとうございます」
若い男性の眠たげで気怠い応答。竜胆が笑って通信機を切ろうとすると、ルカが彼の襟を掴んで会話を続けた。
「Heyheyホセリート!あのさ、帰ったらAV貸してくれね?」
「ル、ルカ君・・!?」
「"うん、OK。帰ったら情報部に寄ってくれ。寝てたら起こしてくれればいいから"」
「了解!」
ルカが電源を切ると、竜胆はやや狼狽している様子で襟元を直した。