ガロファノの花弁
□暗室処理作業
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深夜。
照明の消えたミーティングルームの奥の席、ノートパソコンで報告書を作成していたサヴァの指が止まる。
「エリオットか」
一瞥もせず、再びキーボードを打ち始めたサヴァの横には中年の男性の姿があった。エリオットの服装はかなり乱れていて、酒の匂いが漂ってきた。
「ん〜サヴァちゃん、たいちょー様を呼び捨てはけしからんな〜?」
「飲んだくれを仕事以外で上司扱いする気は起きないな」
エリオットは卓上に置かれたノートパソコンの横に腰掛け、サヴァの作業を遮った。
「ひどくねぇ?俺は一応、この部隊任されてんのよ?」
「それは充分知ってる。全く、素行が悪い癖に上層部に認められてるなんて、相変わらず俺は納得いかない・・・」
「素行は悪かな〜い、キャバクラで可愛い女の子と遅くまで飲むのは必要経費なんだぜ?俺のエネルギー源だし」
「そんな理由で経費で落とされないからな。というか落とさせない。上層には俺が申告しておくから、お前の給料から差し引かれるぞ」
「マジでか!?鬼畜すぎんぞサヴァちゃん!」
「俺は当然の事をしてるだけだ」
一切エリオットを見ることなく、サヴァはモニターを確認しながら文字を打つ。
泣き真似をしていたエリオットは、内容が気になったのか、前屈みになってモニターを覗き込んだ。必然的にサヴァと顔を近づける体制になる。
「酒臭い」
「お?前のDの状態の報告か〜?真面目で大変よろしいぞ。むしろ生真面目なくらいだ」
「本来お前がやることなのを分かって言ってるんだろうな?」
嫌味を言っても泥酔したエリオットには通じなかったらしく、サヴァは眉間にシワを寄せた。酒の匂いも不愉快でサヴァの目付きは益々悪くなっていく。
エリオットは飽きたらしく、卓上から降りてサヴァの左隣の席に座る。ちょっかいをだしたいのか、左手は頬杖をついて、右手はサヴァの銀髪をクルクルと巻いて遊んでいる。