ガロファノの花弁

□無鉄砲な君へ
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人気の無い寂れたスラム街の中、二足歩行の生き物が石畳を蹴る音と巨大な四足歩行の生き物が石畳をえぐりながら疾走する音が響く。

ルカは後ろからカエル型Dに追い掛けられ、路上を全速力で走り抜けていた。Dは車のバン程の大きさで表皮の粘液は酸を含んでいるのか、脚が着地した石畳部分がゆっくりと溶けていた。

「あ゛ぁー!リンドー早く来いってぇ!!」

何処にいるかも分からないパートナーに助けを求めながら、細い路地に入り込む。Dは奇声を上げながら路地に太い前脚を突っ込み、ルカを仕留めようと暴れた。飛び散る粘液でじわじわと外壁が溶けていく。

「畜生っ・・・カエルは蜘蛛の次に嫌いなんだよ!!」

銃を抜いてDの顔面に向けて連射する。鼻先をえぐられたDは唸り声を上げ、一旦体を路地から抜いた。ルカはその隙に襟元の通信機の電源を入れて叫ぶ。

「オレだホセリート!リンドーに繋いでくれっ!」

「"苦戦してんの?"」

「してるから早くしてくれって!」

「"うん"」

一瞬回線が切れ、別の所に繋がった気配がする。通信機の向こうでも別のDらしき声がした。ルカは路地の反対側に走りだし、弾倉を取り替えた。

「リンドー!まだこっちに来れそうにねぇか?!」

「"すみませんルカ君!こちらも応戦中です!"」

切羽詰まった竜胆の声。息が切れているのがすぐに分かった。こちらも同じ状況だが、あちらは小型のDを複数相手にしている。竜胆の方が危険な状況にも思えた。
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