ガロファノの花弁
□君想ふ
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こんな感情、生まれて初めてなんです。
君の何気ない仕種や言葉がちくちくと僕の胸を刺して、心臓を激しく鳴らせてくる。
体がいつも熱くなる。
まるで、自分の体じゃないみたいに。
毎日そんな状態の僕には気づかない君はいつも、僕の前を歩く。
僕も後ろからその背を眺めて歩いた。
そういえば、僕の方が少し背が高いんですね。
そう意識すると、君を小さく感じて
愛おしく感じて・・・
嗚呼そうだ。
僕は君に恋をしている。
恋い焦がれ、渇望している。
君の肌に触れていたいんです。
君の声を聴いていたいんです。
君に、「好き」と伝えたいんです。
ルカ君・・。
・・・・・・
「あの・・僕、好きな人ができたんです」
食堂のテーブルの一つにいつものメンバーで集まり、食事をしていた最中に竜胆は小さく発言した。ちなみにルカは先日の任務の負傷の治療が終わっておらず、医療隊の棟から帰って来ていない。
「そうか」
興味なさげに相槌と愛想笑いをして、コーヒーを啜るサヴァの横でカルボナーラを口に運んでいたエリオットはポカンとして、数秒してからフォークを落とした。
「マジかっ!?遂に青春かリンドー!おじさん嬉しいぞ」
「隊長、テーブルにソースが飛び散ったぞ。拭いておけ」
「分かってるってHoney」
「刺すぞ」
「リン、誰を好きになったんだ?受付嬢とか?」
「いえ・・・彼女達ではなく・・」
「ぎゃー!サヴァちゃんフォークはやめろっ!」
夫婦漫才をし始めた上司二人を他所に、竜胆はホセに椅子を寄せて話し出す。ホセはオムレツを口に運びながら竜胆に質問をし始めた。ホセは竜胆が注文していた焼き魚もひょいひょいとつまみ食いし始めたが、竜胆は咎めなかった。