ガロファノの花弁
□鬼の名を持つ者
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「リンドー、荷物持ってくれよ」
「こ、これ以上は無理ですよ〜」
長い廊下を延々と歩くルカと竜胆。ルカは手に小さな紙袋振り回しながら歩き、数歩後ろの竜胆は大きな段ボールを2つ抱え、よろよろとルカを追っている。
「弾薬補充は自分でやれなんて、ひっでぇ事言うよな眼鏡も」
「その弾薬を全部持つように言う君も酷いですってば!重いです・・!」
「オレは手榴弾運んでんだからいいんだよ」
膨れっ面な竜胆を余所にルカは先に進む。すると遠くに何かを発見したらしく、ルカは立ち止まった。竜胆は視界が悪かった所為か、ルカに少しぶつかってから停止した。
「ルカ君、どうしました?」
「リンドー、オレ達の部屋の前に誰か居る」
ほら、と廊下の先を指差すルカの指先を目で追うと、確かに自分達の部屋の前に凛として立っている男性が見えた。
「あっ・・」
竜胆が何か気がついた。床に段ボールを置くと竜胆にしては珍しい大きめな声を男に掛けた。
「可畏兄さん!お久しぶりですっ」
「カイ?」
聞き慣れない名前にルカが首を傾げる。青年は竜胆の声に気がつくと、驚いたような顔をしてから破顔してこちらに歩み寄ってきた。