ガロファノの花弁

□infection
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あのD感染患者殲滅戦の最中、ホセは妙な反応をパソコンに受信した。モニターで戦闘員全員の行動がわかるのだが、可畏とルカの発信器を兼ねている通信機が破壊されたらしく、彼らの居場所が分からなくなった。
直後、妙な熱源反応がルカが直前までいた場所から発生したのだ。
Dに近いがDではない。しかしおよそ人間の生体反応ではなかった。

「これは・・・何だ?」

熱源にD達が集まる。しかしそのD達の反応が熱源に近づいた瞬間、消え去る。正体不明の熱源に次々と討伐されるD達。隊長達に報告しようとしたが、やめておいた。恐ろしくなったのだ、これではいくら隊長格でも相手にならない。

D達を殲滅してしばらくすると、ほとんど移動しなかった熱源反応が消え去った。

「・・・・・・。」

ヘッドフォンを外す。手の平が汗ばんでいた。

「ルー・・?」

直感的にその熱源を彼と思った。無論根拠など無く、ホセはすぐにその予感を振り払った。


殲滅戦が終わって数十分後、竜胆がルカを発見した報告が入る。熱源反応が消えた場所だった。


「・・・・・・。」

偶然にしては出来過ぎている。ホセは隊長達に報告するか悩んだ。隊長達に報告すれば間違いなく上層部にも届く、恐らくルカは重要人物として呼び出され、最悪、危険分子として処分されかねない。退役だけでは済まされないだろう。
ルカをそんな目には遭わせたくはない。彼はホセにとって親友とも呼べる存在であり、可愛い弟分でもあった。


ホセは黙ってパソコンの電源を切った。






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