ガロファノの花弁
□Please come. …My prince.
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オレは自ら、自分を照らしてくれる光を壊した。大事な大事な、唯一の宝物をその壊すという一時の快楽の為に捨てた。
でも、そんな自分を愚かだとは思ってない。壊すと同時に、その光をオレと似た苦しみから解放してあげたんだから。
そして訪れた自由と凍えそうな闇の中で、オレは代用品になる灯を求めた。蝋燭の炎みたいに一時でいい。使い捨ての利く温もりが欲しかった。
「――――――!」
今、オレが犯してる蝋燭の名前は何だっけ?
「――――――。」
今、オレを犯してる蝋燭の名前は何だっけ?
まぁ、いいや。どうせ一時だけなんだから。誰とも知らない温もりを得られれば、もうどうでもいい。後にこの蝋燭が、オレの体で感染して死のうが化け物になろうが、それさえどうでもいい。
でも
こんな気休めじゃなくて、
愛されたい。
光があった時みたいに、
愛されたい。
はっきりとした余韻の残る温もりが欲しかった。
愛する人は後にも先にも、壊した光だけだけど、
恋する人はまだいないから。
オレは恋する人を愛する事は出来ないけれど、オレに恋する人はオレを愛してくれるでしょ?
蝋燭なんかより、はっきりとした温もりをくれるでしょ?
温もりさえくれるなら、オレは何をされても平気だよ。だから、オレはその温もりをくれる誰かを愛してあげられないけど、その誰かはオレを愛して下さい。
代わりにオレは、ひたすらその誰かに恋してあげるから。
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彼女は、僕を理解してくれなかった。
僕を撥ねつけて、彼女は何処かへ行ってしまった。
何がいけなかったのだろう。
確かに愛したはずなのに。
僕は、彼女に触れた証を残したかっただけだった。
持っていたナイフを取り落とす。
僕は何を間違ったのだろうか。これが間違っていないのなら、受け入れてくれる人はいるのだろうか。この愛を拒絶しない人はいるだろうか。
誰か
誰か
目一杯の愛をあげるから、僕を恐れないで、受け入れて下さい。
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