ガロファノの花弁
□暗室処理作業
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「・・殴るぞエリオット」
「暇なんだよな〜・・可愛い子からメアドも聞けなかったし、酒はサヴァがこの前捨てちまったし・・・」
不満げな声で言われても、サヴァは特に反応を示さない。作業で目が疲れたのか、眉間の辺りを指先で揉んだ。
「疲れたんか〜?暗い所でやるからだぜ」
「暗い方が集中できるんだ」
「だから目が悪くなるんじゃね?」
「あ、お前っ・・・」
椅子から立ち上がり、ひょいとサヴァから眼鏡を取り上げたエリオットはニヤニヤと唇で弧を描いた。サヴァは余程目が悪いのか、目線がややズレている。流石に怒ったのか机を強く叩いた。
「エリオット!」
「お〜視力随分ひでぇのな」
「返せ酔っ払い・・!」
サヴァはすぐさま立って、ぼやける視界でエリオットの胸倉を掴もうとするが、その腕はあっさりと掴まれた。もう一方の腕も掴まれ、サヴァは背中から卓上に押し付けられた。カシャン、と眼鏡が床に落ちる音が響く。
「おいっ・・!」
「サヴァはホント真面目だよな〜そんな疲れてたら実戦でもたねぇぞ?コレ、たいちょー様からのアドバイス」
「誰の所為だっ!」
自分がこんな夜中まで仕事をしているのは他でも無い。エリオットがやらない仕事を全て肩代わりしているからである。本人にそう言ってやり、殴ってやろうと思っても、腕を振り払うことができず全く敵わない。足は自由だがエリオットがその間にいるため、蹴ることが出来なかった。