ガロファノの花弁

□無鉄砲な君へ
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「"片付けたらすぐに援護に向かいます!"」

「Thank you リンドー!怪我すんなよ!」

「"そちらこそっ"」

そこで通信機は切れた。再びDが路地を突破しようとしてきた為、ルカは射撃を再開した。手榴弾を使いたくても、逃げ道である路地まで吹き飛ばしてしまったらまずい。仕方なく二丁の銃で撃ちはじめたが、しぶとくもDは死ぬことは無く、裂けた口を大きく開いて唾液にまみれた長い舌を路地に突っ込んだ。

「嘘だろクッソ!!」

紫色の舌が猛スピードで路地を突っ切り、ルカが逃げる動作をする前に彼の胴を搦め捕った。ギリ・・と強く締め上げられ、息が詰まる。そのまま強い力で引き寄せられて焦ったルカは、苦悶の表情を浮かべながら舌に向けて闇雲に銃を発砲した。血が飛び散り、Dが悲鳴を上げた所でなんとか拘束から逃れ石畳に片膝を着いた。ジャケットとシャツの胴回りは溶けているか焼け焦げたようになっており、薄い生地だったシャツは殆ど溶けて消え、腹部に火傷を作っていた。

「〜ってぇ・・!」

腹部を押さえ、ルカは片手で再び発砲する。弾丸がDのぎょろりとした目玉に着弾し、眼球は風船のように血と共に弾けた。更にのけ反ったDに向かって手榴弾を投げ込み、爆発音を背にルカは一旦路地を出た。

「スラム中Dだらけとかマジありえねぇっ!!燃える所か萎えるっ!」

「"ルー、そっちに別のが接近中"」

「わかった!」

随分と減らした筈なのに次々現れるDにルカはかなり疲労していた。体力には自身があったが数時間と走れば流石に限界が近い。予備弾倉も数が殆ど残っていなかった。
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