ガロファノの花弁
□君想ふ
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「えっと・・何て言うか、その、誰と聞かれても恥ずかしい物がありまして・・・」
「じゃあヒント頂戴?」
ホセはヘッドフォンを外し、本格的に聴く姿勢になった。この状態のホセにごまかしは効かないため、竜胆は堪えるようにして口を開いた。サヴァに手の甲にフォークを刺されていたエリオットはそちらに意識を取られて聞いていないから助かった。
「あ・・ヒントはですね、とっても元気な方なんです。僕とは正反対、みたいな・・・」
「俺?」
「違いますっホセさんの事も好きですけど、そういう意味じゃありませんから!」
竜胆は慌てふためき、冷静になるためか緑茶を口に含んだ。ホセは悪戯めいた顔で破顔してみせる。
「冗談だって。俺もリンは可愛いから好きだけど、そういうんじゃないし」
言いながらホセは竜胆の焼き魚を再び摘む。しかし飄々とした発言にしては妙に真剣な顔をした気がする。そしてホセはまだ引き下がらずに質問をしてくる。
「リン、もう1個だけヒント頂戴?」
「うぅ・・・で、では、えっとですね・・・もう答えみたいなものなんですけど・・・僕の1番身近な人、です。分かっても口外しないで下さいね?」
「隊長。リン、ルーが好きなんだそうです」
「ん?あっそうか〜!リンドーがアイツをねぇ・・・」
「あっ!もう、ホセさんっ!?」
3秒もしないうちにエリオットに報告したホセに真っ赤になって怒る。せめてもの報復に竜胆は焼き魚を彼の届かない位置に移動させた。
「今の反応からすると、ホントにルーなんだ?分かってると思うけど、ルーって男だよ」
「分かっていますが・・・何て言うか、ホセさん達に対する好きと全然違うんです。普通、同性への好意って相手にくっつきたいとか、相手の色んな所に触りたいとか・・思わないでしょう?」
「・・・確かに」
想像してみたらしく、ホセは数秒後に頷いた。言うのが不安だったが、軽蔑されなくて良かった。一方でエリオットは返されたフォークでカルボナーラを咀嚼しながら、首を傾げている。