ガロファノの花弁

□鬼の名を持つ者
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「やぁ竜胆君、直接会うのは久しぶりだね。元気だった?」

「はい。可畏兄さんもお変わり無いようで何よりです」

「リンドー、コイツは・・?」

「嗚呼っすみません!こちらは僕がお世話になった指導員の可畏兄さんです。簡単に言えば僕の先輩です」

困惑するルカに竜胆は青年を紹介した。ルカは竜胆の横に立ち、じっと可畏と言う名の彼を見上げた。
東洋的で妖艶な顔立ち、やや長めの紫掛かった濡れ羽色の髪とホスト然としたはだけたスーツが特徴だった。

可畏はルカに妖しく微笑むと、その手をそっと差し出した。

「初めましてルカ君。僕は可畏。竜胆君から色々と話を聞いてるよ。ルカって言うから、つい女の子かと思ってたけど、違ったね。失礼」

「えっ嗚呼、おぅ・・よろしく」

ルカと軽く握手を交わすと、可畏は再び紅茶色の瞳で竜胆を見つめた。

「酷いじゃないか竜胆君、ルカ君が男なんて聞いてないよ。期待していたじゃないか」

「もう・・何を期待なさっていたんですか!それに、そもそもルカ君に変な期待をしないでくださいよ・・」

子犬のようにルカの腕に触れた竜胆は、少しばかり不機嫌そうだ。そのままルカを抱きしめると可畏に膨れっ面をみせる。

「リンドーっ・・苦しいって」

「へぇ、竜胆君がそんなに誰かを大事に思うなんて初めて見るよ」

「はい、ルカ君は今の僕にとって大事な人ですから」

「おいっお前そういう事を言うなよなっ!」

苦笑するルカは竜胆の腕に自分の手を沿え、離すように促した。それをじっと見ていた可畏は口元を片手で覆い、くすくすと笑い出した。

「可愛いね、竜胆君もルカ君も・・・」

不意に可畏は両手を伸ばし、竜胆とルカの頭を撫でた。ひんやりとした手は二人の髪質の違いを楽しむように撫でてから離れる。

「所でアンタ、何でオレらの部屋の前に居たんだよ?」

「嗚呼それ?此処半年間、海外へ遠征に行っていてね。今の竜胆君の部屋が分からなかったんだよ。エリオット隊長から聞いてきたんだ。可愛い後輩が指導員になるなんて、嬉しいからね。様子でも見ようと思って」

ぶっきらぼうなルカの質問に可畏は親切に答える。その温厚そうな声色は竜胆に通じる雰囲気を醸し出していた。
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