ガロファノの花弁
□嫌い嫌い嫌い、好き。
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サヴァは昔から生意気で、高圧的な性格の持ち主だった。その上短気で組織内ではいつも揉め事の中心にいた。
「てめぇこのクソガキッ!」
今日もまた、サヴァは先輩にあたる隊員と揉め事を起こしている。原因は単純明快、廊下で彼と肩がぶつかり、サヴァは謝る姿勢を見せるどころか、「その目は何のためについているんだ?耄碌ジジイ」と侮蔑の言葉を投げたのだ。
狭い廊下で自分より遥かに体格の良い男の拳をサヴァはあっさりと避けてみせ、男の足を払って転倒させる。瞬間、サヴァは男の胸板をブーツで踏み付けていた。
「ぐっ・・くそっ・・」
「弱い癖に俺に盾突くな。カス」
廊下の騒ぎに人が集まる。サヴァはそれを一切気に止めずに足に力を込めた。男が咳込む。自分より弱い相手は跪つかせればいい。自分を馬鹿にする者も自分より弱い事を自覚させ、屈服させてしまえばいいのだ。
「お前みたいなカスには、Dの排泄物になる末路が似合いだろうな」
「てめぇ・・言わせておきゃあ・・!」
男が腕を振り上げようとした時、廊下に一度だけ手を叩く音がした。突然の音に周囲は静まり返り、サヴァは廊下の先に目をやった。
「はいは〜い騒がないでくれよお前らぁ〜俺、二日酔いで頭痛いんだからよ〜」
気怠げな声で人混みを割ってきたのは、先日サヴァに声をかけてきた金髪の青年だった。しかし服装は乱れていて、オールバックにしたかったのであろう前髪も数本の束が顔に垂れている。一言で表すならば、だらし無い。
青年はサヴァと男の前まで歩み寄ると、面白そうに笑った。近づかれると強烈な酒の匂いが漂ってきた。