REBORN

□理由なんてない
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愛する君は敵対するファミリーの幹部。


理由なんてない



突然の事だった。
僕が、まさか敵対するマフィアの幹部を好きになったのは。


『あー…リング忘れちゃって闘えないんであたし。』

「…はぁ?」


戦いに来た場所で彼女はリングを忘れたと言ったんだ。
普通そんな大事な物を忘れるだろうか。
それはただの馬鹿ということなのか定かではないが彼女は確かにこう言った。


『だから嫌なんだよねーミルフィオーレとか。ダルイっての〜あたしの自由返せー』


ボリボリと頭をかく彼女は一見、女らしく綺麗なのだがガサツなあまり、男にも見える。
というか、何故闘う気が無いのか、そして何故ダルイのにミリフィオーレの幹部なのだろうか。

僕にはその神経が理解できない。
ダルイならやめればいい、自由に単独行動の多い僕は拘束、束縛という物を知らないからいえることなのだが。
それにしては彼女は少し異常だ。


「君、馬鹿?」

『………、うん』


そんな変な彼女に、僕は、一目惚れをした…。



『君は楽しそうだねー、まるで孤高の浮雲のように凛として、自由を知ってそうな顔つき』

「……何それ」

『だからー幸せそうって言いたいんだよ』


ヘラァッと笑う彼女に押されたのか、よく分からないけど…僕は彼女にトンファーを向けなかった。
きっと彼女のように変な奴を好きになったことは、一生の汚点だと思う。


だってそうでしょ。
彼女はこんなに綺麗に笑うのに、裏社会の、ミルフィオーレという敵のファミリーの幹部。
そんな彼女を好きになってしまったのだから。



『君は雲だよ、空を覆う真っ黒で、凛とした、あの雲―』



ニコニコと笑う彼女は、どこまでも澄んでいる太陽のような少女だった。





理由なんてない

だって恋は無意識の内に落ちてるものだから。 なんて誰かが言ってた気がする。

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