◆小説◆

□恋心
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スースと出会ってからというもの、俺っちの日常はがらりと変わった。
あの日スースと出会わなければ、今の俺っちはないし、今スースの家にいることも当然なかっただろう。

いつの間にやら、スースの存在は俺っちにとって大きなものになっていた。





スースと初めて話したのは中学3年の春。
最後のクラス替えで初めてスースと同じクラスになった。
その頃の俺っちは、熱中していた部活を怪我で続けることが困難になって辞めざるを得なくなり、何に打ち込んだらいいのかわからずにいた。
さらには成績もどんどん落ちていくばかりで。1日1日を何となく過ごす日々。何もかもが良くない方向に傾きはじめていた。


制服のズボンに煙草を入れて屋上へ向かういつも通りの昼休み。といっても、あと10分程度で昼休みは終わる。
次の授業は科学。嫌いでもないが好きでもなく、なんとなく面倒くさいのでサボることにした。

階段をのぼりきり、学校と外の世界をつなぐドアを開くと、爽やかな風とともに桜の花びらが舞い込んでくる。
床に座り込み、一息つく。
煙草を取り出して口にくわえようとした俺っちに、上から声が降ってきた。
 
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