◆小説◆

□星空の下で想うこと
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「きれいな星空だのう!」

スースは声をあげ、丘の頂上まで駆け上がり、まるで子どものようにはしゃいでいる。仕事に追われ、ついさっきまで疲れきっていたあの人はどこに行ってしまったんだろう。


満天の星空の下、小高い丘にふたりきり。


「スース、そんなに急ぐと危ないさ」


まるで保護者みたいな言葉を発している俺っちはこう見えてもれっきとしたスースの恋人だ。

この頃自室に閉じこもってばかりのスースを尋ねてみると、そこには難しい顔をして机に向かっているスースがいた。
俺っちに気付いてこっちを振り返ったスースの顔があまりにも疲れているみたいだったから無理矢理ここへ連れてきてしまった。


「こうやって星を見るのも久しぶりだな」


隣に座った俺っちに向かって話しかけるその声で、灯りがないこの場所でもスースが微笑んでいるのがわかる。
あぁ、やっぱり無理にでも連れてきて良かった。
無数の星が、まるで風に吹かれてゆらめいているかのようにチカチカ瞬いている。
綺麗だ、と思いつつスースばかり見つめてしまう。


その時スースが星空を仰いだまま俺っちに向かって言った。


「天化…その、連れ出してくれてありがとうな」


俺っちは何も言わずただ頷いた。


いつものスースに少し戻ったようで安心してまた星空を見上げた時、夜空を一筋の光が流れた。


「あ」


流れ星だ。


隣でスースは手を合わせて何か祈っている。だから俺っちはスースの願いが叶いますようにと願った。


それと。
欲張りな俺っちはもう1つ願い事をした。
スースとずっと一緒にいたいと祈った。ずっとスースの側でスースのことを守っていたいと。




**あとがき**
短いですが久々の小説です。もうなんか私が書くと全部しんみりしちゃいますね…シリアス好きなんで!

ここまで読んで下さりありがとうございました!!

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