◆小説◆
□愛とか恋とか。
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「おぬしがそうしたいならわしは…その、おぬしの恋人になってやっても良い」
…ん?あれ?
なんで上から目線?
味わったことのない緊張から変なことを口走ってしまった。早く言い直さなければ…
「いや、恋人に…」
「スース、本当さ?」
「へ?」
「本当に俺っちの恋人になってくれるさ?」
「…わしなんかで良ければ」
「スースしか考えられねぇさ!」
そして天化は安堵のため息をつく。
「もう、本当、スースに嫌われるんじゃないかと思ったさ〜良かったぁ」
「そんなことで嫌いになるはずなかろう?おぬしはわしの親友…だったんだからな」
「これからは何卒よろしくお願いしますさ」
「…お願いします」
ついさっきまで直視していたはずの天化の顔がまともに見られない。
たったひと言で人ってこんなになってしまうものなのか…。
天化とお付き合いすることはわしの合意で決定したが、生憎当の本人、わしはノープランである。
メロンパンに夢中になったり、謎の視線に悩まされたりして1日を何となく過ごしてきて、愛とか恋とか、好きとか愛してるとかに今まで無縁だったわしが、今その真っ只中に立っている。
…ああ誰か、この状況を説明してくれ。
「…なんだかオモシロイところを見ちゃったわん」
屋上への入り口のドアの前で立ち止まって笑みを浮かべるひとつの影。長身のその美少女こそ、噂の転入生、妲己であった。
……つづく……