銀魂部屋

□勘違いには気をつけろ
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5限目のチャイムが鳴った。

昼休みの後
最初の授業ほど
眠たいものはない。
しかも国語だ。

教壇の上で
ジャンプの朗読という
ふざけた授業をしている
銀八の怠そうな声からはα波が
出ているんじゃないかと思う。
それくらい眠たい5限目。



周りを見渡してみると
総悟は起きていたが
チャイナ娘は爆睡。

近藤さんは
寝てるんじゃなくて
さっき怪力女に
気絶させられていた。

そういう怪力女は
近藤さんの熱視線に
邪魔される事もなく
真面目にジャンプに
目を通している。


毎回毎回
同じ週のジャンプを
朗読するのにも飽きた
マガジン派の俺は、
窓の外を眺めていた。


すると、
気配などしなかったはずなのに
鈍器で叩かれたような痛みが
後頭部に走った。

「――――っつ!!!
ってぇな、何すんだよ
てめぇ!」

銀八にジャンプの角で
頭を叩かれたのだ。


「授業をちゃんと聞いてない
土方君が悪いと思いまーす。
それから、銀八先生と
呼ぶように。」

野郎は何にも
悪びれてないらしい。

「俺以外にもいっぱいいるだろ、
そんな奴!!!!
ってか俺起きてるだけ
マシじゃね?」

俺よりもっと
聞いてない奴を探そうと
周りを見渡していると
無表情な総悟と目が合った。

「土方さーん、自分より
下の奴なんて探して
見苦しいでさぁ。
いっぺん死んで下せぇ。」

「てめぇが死ね!
ってかほんと、チャイナ娘とか
寝てる奴はどうなんだよ。」



「チャイナ?
チャイナはいーんでさァ、
聞いてなくても
ムカつかないんでね。」

「そうネ!
お前みたいなマヨ野郎と
一緒にするなヨ!」


「どーいう基準んん!?
ってかチャイナ娘!!
マヨネーズを馬鹿にするな!!」
と、ツッコんでみたが


「チャイナー、
何か付いてやすぜ?」

「んー?どこアルか?
とってヨ。」

「あ、寝型だった。」

「てんめぇ!
最初からわざとだろ!!
レディーには
もうちょっと気ぃ遣えや!!」

「レディー!?
寝型付けてる奴に
言われたかねぇや。」

いちゃついていて
もはや話を聞いてなかった。


「ん?」

いきなり肩に
手を置かれたかと思うと、
その手は銀八のもので
哀れみを含んだ目で
俺を見てくる。

「と、いう訳だからさ、
このプリント後で
国語準備室まで持って来て。」


こいつ!
最初から俺にプリント
運ばせるつもりだったな。
苛ついたから軽く睨んでやる。

「仕方ないだろ?
今日は新八が休みで
まともに物頼めそうな奴、
おめぇしかいねぇんだから。」

あぁ、どおりで今日は
ボケの収集が着かないと思った。
このクラスの中で一際
存在感は無いが、まともで
ツッコミには長けているから
いなくなると非常に困る。
俺にとって
志村新八はそんな存在だ。


だが、

「志村姉は?
まともじゃねぇか。」

そうだ、
まともな人間のカテゴリには
まだ、志村姉がいる。


すると銀八はけだるそうな
仕種で答えた。

「あのなぁ、
あれのどこがまとも?
俺が志村姉に頼み事をして
ただで済むと思う?
無事で済むかも疑問だろ?」


「てめぇは自分のことしか
考えてねぇんだな。」

「考えてるよ?
生徒想いの良い先生だよ、俺は。
でも3倍返しはきちぃんだよ。
な、頼むよ土方くん!」

とだけ言い残して、
誰も承諾していないのに
銀八は教室から去ってしまった。


「ったく、めんどくせぇ。」


新八の存在をあらためて
有り難く思う土方だった。



そして
もはや授業中とは呼べなくなった
教室では服部先生が文句を
言いに来て銀八に返り討ちに
合うという事があったりしたが
なんとか授業が終わって
やっとの事で休み時間。

普段なら一息つくはずの
休み時間だ。

な・の・に!
何で俺がプリントなんて
持って行かなきゃならねーんだ!


「銀八ぃー上がるぜ」


国語準備室に入ると
銀八は椅子に座り
ジャンプを顔に乗せて
眠っているらしかった。


「人呼び出しといて
寝てるのか?こいつ。」


呆れた。



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