Short Story
□愛しき桃色に
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だいたい今日は土方と一緒の巡回ってだけでむしゃくしゃするっつーのに。
『つまんねーだろうが、糞チャイナ』
赤い小さな箱を見ながらポツリとそう一言呟いた時、沖田の視界の端に鈍く光る銀色が映り込んだ。
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新八特製の卵粥を食べた後、満足して大人しく布団に潜って目を閉じる。
空腹を満たした為か、先程まで感じていたやり場のない怒りもすっかり消え失せ、波のように段々と近付く眠気に心地良さを感じていた。
微かに聞こえる話し声もどんどん遠くなってきて、きっともう半分は夢の中なんだろう。
だが眠りに落ちる直前に突然頬に感じた冷たさによって、神楽の意識はあっという間にこちらへ引き戻される。
うっすら目を開けて頬に突き付けられた物を辿っていくと、それは見知った顔。
『…何やってんだコルァ』
『第一声がそれかよ。可愛いげもクソもねーや』
『…質問の答えになってねーヨ』
『見て解らねェのか?嫌がらせしてんでィ』
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