Short Story
□アイス争奪戦争
1ページ/7ページ
『こうなったら仕方ないですぜ。部下も上司も関係ねェ、力付くで手に入れましょうや』
争いは、栗色の青年のこの一言から始まった。
〜アイス争奪戦争〜
『ふう…いい湯だったな』
そう断言するのは此処――真撰組の局長である近藤勲。だが、その言葉とは裏腹に近藤は難しい顔をしていた。
(しかし…何だって今日は皆風呂を断るんだ?)
近藤が『一緒に風呂入るか!!』と隊士達を誘うのは何時もの事。もちろん土方や沖田も例外ではない。
風呂の中で隊士の悩みが聞けたりする上、何より親睦を深めるには打ってつけだからだ。
(アイツらまさか…何か俺に言えない悩みが…?)
いつになく険しい顔で真剣に考えながら、自室までの廊下をタオル一枚で歩く。
(…ん?)
そんな時、ふと目の端に栗色。何かと思い、引き返してみるとそれは見知った顔だった。
『何やってるんだ?総悟』
そう声を掛けると、沖田はゆっくりと振り向き、指を口に当てた。
『しっ…、近藤さん、静かに。今タイミングを見計らってるんでさァ』
『タイミング…?』
・