Short Story3
□お前を見ていると吐き気がする
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もや。
もやもや。
もやもやもや。
原因不明の不快感に悩まされ早一週間。四番隊に出向いて診察を受けるも異常は見当たらず、ただ不快感だけが居座る身体。書類整理中も任務中も付き纏うそれに、最早精神的限界が近付いていた。
「…大前田」
「なんスか」
「壁に頭を強打して死ね」
「はいはい…ってえェェ!?突然何言ってんスか隊長!!」
「私が冗談を言うとでも思ったか」
「そりゃあそうッスけど…ってやっぱり本気じゃないスか!えっ、何で!?俺何もしてないのに!!」
「貴様の存在が私の気分の回復を妨げる。いっぺん死んでこい」
「ハァ!?つーか俺が居るなんて仕事中なんだからいつものことじゃないッスか!なんで今日に限って!?」
「逝け。さもなくば斬る」
「字が違う!!多分字が違いましたよね隊長!!?」
「…尽敵しゃ」
「ギャーッ!!わかりましたわかりました!!ちょっとそこらで時間潰して来ますから!」
刀に手を掛けるとたちまち部下は逃げ出した。全く情けない。今は居なければ居ないで越したことはないが。
これで少しはましになる筈、と筆を持つのを止めて深呼吸。休憩に茶でも淹れようかと席を立ったその時だった。
何処からか、見知った霊圧。
それと同時にまたもやもやと胸に不快感が蘇った。
ふと窓の外を見てみる…と。
(───、)
まるで姿を隠すように。
無意識、に。
勢い良く窓の下に座り込んだ自分が居た。ドクドクと嫌な音をたてて上がる心拍数。
(何をしている、私は、)
頭を振って忘れようにもそれを瞳が許しはしなかった。先程の状況が目にこびり付いて、離れようとはしなかった。
(市丸ギンが居たことも)
(見知らぬ女と居たことも)
(こちらを見て口元を吊り上げたことも)
私は貴様が嫌いだ。
心乱す自分自身も。
これ以上近付くな。
これ以上かき回すな。
これ以上乱すな。
(嗚呼、殺してやりたい程に憎い)
(吐き気がする)
お
前
を
見
て
い
る
と
吐
き
気
が
す
る
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配布元:残虐デモクラシー様