Short Story

□愛しき桃色に
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11/3。今日は、桃色のアイツの誕生日。




万事屋に、朝から大きな声が響き渡った。


『ハァ!?オイオイオイオイ』

『しー!!ちょっと!!そんな大声出さないで下さいよ!神楽ちゃん寝てるんだから!!』

口に指を当てて焦る新八に、銀時は面倒臭そうに顔をしかめ押し入れの襖を開ける。


『とことん運がねェな、コイツも』




〜愛しき桃色に〜




本日の主役とも言える神楽は、今日に限って風邪を引いて熱を出していた。熱、と言っても微熱だが。


そもそもこうなったのはアイツが原因である。


昨日いつも通りにあのドSと鉢合わせし、あれよあれよと言ううちに傍から見れば殺し合いかと思われる程の闘いに発展した。


だが昨日は闘った場所が悪かったのだ。追い詰められた神楽は足を滑らせて川に入ってしまい、帰って来た時には全身ずぶ濡れ。あれで風邪を引かないほうがおかしい。



『くそッ…イラつくネ』


重い瞼を開けると押し入れではなくちゃんとした寝室に寝かされていて。いつもより高くなった天上を見ながら考えるのは、昨日の勝負よりも今日の事…そしてあの憎たらしいドS。






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