Short Story
□追憶
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―――まただ。
また俺は同じ夢を見てる。
何度眠りにつこうと、決して取り付いて離れてはくれない、夢を。
〜追憶〜
梅雨。夜はとても蒸し暑く、寝苦しい日が続く。
そして、この天パ…銀時もまた例外ではなく、その一人。
『……っ…だぁぁあぁあ!!蒸し暑ィィ!寝苦しいじゃねぇか!筋肉質な男が近くに居るみてェな感覚だよコノヤロー!!』
やり場のない怒りをぶつけながら布団を思い切り蹴飛ばし、空気に触れる。
今日は新八、神楽共に万事屋に居ない為、夜中の銀時の叫びがツッコまれる事はなかった。
『ち…なんでよりによってこんな時間に起きちまうんだよ…。』
頭をボリボリ掻きながら台所に向かう途中ふと時計を見ると、短い針は2を指していた。
蛇口をひねり、流し台に乱暴にコップを置く。
水音に耳を傾けながら少し思いにふける。微かに頭にちらつく、昔の記憶。
その記憶のカケラを、振り払うかのように銀時は頭を振る。