Short Story
□家族日和
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『た、大変!!』
急いでみそ汁を温め直す小さな母の背中を見ながら、夏梨はため息を付いた。…と、廊下をバタバタ走る音が夏梨の耳に届く。
『グッモーニーン!!元気か我が娘達よ!!』
(…来た)
――来た瞬間、軽く頭痛。
ハイテンションに勢い良く扉を開けたのは、この家の大黒柱の一心だ。
『あ、おはようお父さん!!』
『挨拶出来たな、合格だ遊子!!…ん?どうした夏梨!?元気がないぞ!?』
親子二人、まるでドラマの再会シーンのように抱き付く。娘に子供のようにスキンシップをとる父を熱苦しく、時には欝陶しくも感じる訳で。
『別に普通だろ』
『母さん…夏梨が最近父さんに冷たい!!』
母のポスター遺影に縋り付く父を冷たくあしらってみそ汁を一口啜る。
朝からどうしてそんなにテンションを高く出来るのか、全く理解出来ない。
『ややッ!?どうした遊子、そんな泣きそうな顔して!!』
父の朝食の準備をしていたハズの遊子も、一緒になり母の遺影に縋り付いていた。遊子の今にも泣き出しそうな顔を見て、一心は目を見開く。