Short Story

□月夜の談話
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仕事が一段落したので、気分転換するために開けた窓の外。
『――…わぁ…』

ふと見上げた空に浮かぶ月が、とても綺麗に見えた。

『リーバー君…月、綺麗だね…』

思わず見取れてしまい、口からはぼんやりとした声。「リーバー」と呼ばれた彼は、書類から目を離し、怪訝そうに眉を潜めた。

『はぁ…』

コーヒーカップを持ったまま、夜空を見上げてぼんやりと動かない上司を不審に思ったのだろう、未だにコムイから目を離さない。

そんな彼の視線に気付き、コムイはふわりと苦笑いを浮かべた。

『いやほら、今日満月だからさ。最近ゆっくり空を見る事がなかったから…嘘みたいに綺麗で少し驚いただけだよ』

なるほど…と軽く相槌を打ち、目線は再び書類へと戻る。その様子を見て、コムイは『リーバー君』と声を掛けた。

『なんスか?』

『うん…書類とばかりにらめっこしてないでさ、リーバー君も見たらどうだい?本当に綺麗だよ?』

『いや、俺は…』

『まだ少し残ってるんで』と書類を見せるリーバーに、そっか…と困ったように笑うとまたコムイは夜空を見上げ、少し考えるような仕草をすると、コーヒーに映った月に目をやり、独り言のようにこう呟いた。



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