頂き物・捧げ物等
□拍手文
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(ラビ誕)
8/10は何の日でしょう?なんて。仲間に聞くだけ野暮ってモンだ。元々自分の社交的(それは勿論ブックマンには必要不可欠なものだ)な性格上、教団の中で8/10と聞いて疑問符を浮かべる者は居ないだろう(勿論、新しく知り合った者にも必ずアピールする)
常日頃からアピールしている故、当日人とすれ違えばちらちらと聞こえる、おめでとうコール。
「おめでとう、ラビ!」
「おっ、サンキューリナリー」
何時にも増して笑顔が可愛いリナリー(コムイにバレたら大変な事になるので、絶対に口には出さないが)。手作りのケーキをプレゼントしてくれた。
(ケーキは後で大事に食べるとする)
「あ、ラビ。今日誕生日なんですよね?おめでとうございます」
「オウ!ありがとな、アレン」
食堂でバッタリと会ったアレン(今日も重いモン食ってんなぁ)。みたらし団子を食べていたからなのか、ハイ、と渡されたのはみたらし団子(まあプレゼントくれるだけで嬉しいケド…コレを今食えと?)
(でも有り難く貰っておくとする)
まだ1日が半分も終わってないのにかなりの人数に声を掛けられた。
これも彼の人懐っこい人柄故。ある意味特技なのかもしれない。それ故にいつもいい気分で1日を終えるのだが。
彼のような所謂人懐っこいと呼ばれるやからを嫌う者も居る。そう、中には居るのだ。
(また一応言ってみっかなー)
そう、誕生日において。
問題なのはあの怒りっぽい仲間。通称パッツン男子(アレン談)。
普通に考えたら、プレゼントなんてくれる奴ではないんだけど…
(そしてからかって六幻を向けられ死にかけた事は多々あるけど…)
まぁいつも一応、からかいついでに言うだけ言ってみるのだ(死にかけるのは嫌だが、人をからかうのは面白いから好きという複雑な愛憎模様である)
「おーい、ユウ〜」
「ユウじゃねぇ。何度言えばわかる」
ギロリ。
おおー恐い。この無駄にドスの効いた声と鋭い睨み。いつもの事だがやっぱり一瞬怯む。ていうか恐いってそれ!絶対仲間に向ける顔じゃねぇって!
「んな恐い顔すんなってー」
「…何の用だ」
「まあ大した事じゃないんだけど…ユウ、今日何の日か知ってるさ?」
「知らん」
「あはは 即答!やっぱそう言うと思ったー」
ケラケラ笑う俺に、更に機嫌が悪くなったようだ。先程より眉間の皺が深くなったのが何となく解った。
「何が言いたい」
「あ、悪い悪い…実は今日俺の誕生日でさ、なんかプレゼント貰えないかと思って」
「阿保か。やる訳ねぇだろ。図々しいにも程がある」
「はは、だと思った!ユウは何時にも増してつれないさ〜」
「…そんなに俺に斬られてぇのか」
「ちょ、ユ…じゃない神田さん!?んな本気で怒る事ねぇさー!」
「あっ、また喧嘩してるの!?もう、ダメじゃない神田!」
「…チッ」
「神田は血の気が多いですから」
「んだとモヤシ」
「…なんですか」
「まあまあ二人とも落ち着け!喧嘩は良くねぇって」
でもま、初めて会った時よりは喋ってくれるようになったかな、なんて。少しは信頼されてんのかなー。
(あ。なんかコレって幸せかも)
こうやって、いつものように喧嘩して笑って。心から楽しいと思える日が来るなんて、教団に来る前は思いもしなかったから。
でもブックマンJr.としてはこの穏やかな時間は仮初めの時間で。
(苦しくないって言ったら嘘になるけれど)
でも、せめて。
願わくば、いつまで続くか解らないこの仮初めの時間が。
今はまだ終わりませんように。
もう少しだけ、こいつらと一緒に。
せめて今だけは
(ただのエクソシストのままで、)
普段はそんなに意識しないものの、自分はブックマンの後継者で、歴史の傍観者。
本当はこんな感情は必要無いというのに。此処に居ると、忘れそうになる。忘れそうになるほど、俺は───
Fin
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アンケートを参考に。
一応はラビ+神田です(×は無理だった;)
やっぱりオールキャラになっちゃうな(苦笑)