頂き物・捧げ物等
□拍手文
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(アレン+フォー)
なあウォーカー。お前、アクマも人間も好きなんだってな。
「そうですよって言ったらどうします?」
変わってるな。本当にお前は大概キテレツだぜ。
「はは、それはどうも」
ちなみに理由はちゃんとあるのか?
「───、」
アクマは悪くないでしょう。全ては千年伯爵が。彼はアクマをただの道具として、人間の魂をただの道具として使う。
命令には逆らえない。気付けばいつも周りは血の海。そしてどんどん進化する。
その度自分の姿に嫌悪する。
自分の犯した罪に苦悩する。
そんなアクマ達を、救ってやりたい。ただそれだけ。
でも本当は、僕がアクマを好きなのはそういう事じゃなくて
(僕の進むべき道が、存在理由が、アクマを破壊する事だけだから)
マナへの誓い。マナを破壊してしまった罪悪感、後悔。それだけが僕を戦場へと駆り立ているのだとしたら。
僕はアクマを破壊する事で、マナに許されたいのかもしれません。
だとしたら、僕は自分自身の為にアクマを破壊しているのかもしれない。
(なんて自分勝手)
そう言ってそいつがあまりにもはかなげに微笑むものだから、キシリと胸が痛んだ。
「バカな奴…なんでそうなるんだよ?」
「──ひどいな、もう」
アタシは生憎、上手に慰める方法なんて知らない。ましてや素直に慰めるなんて器用な事はきっと出来ないけれど。
(少しでも、お前の心が軽くなるのなら)
アタシは、感じたままに。
思うがままにお前に言おう。
お前はアタシなんかよりずっと、ずっと若いくせに。
アタシより重い物を背負ってるのか。
「お前はそんな奴じゃないって、皆よく知ってるぜ」
それは流れるように、口から自然に溢れ出た言葉。上手な慰め方なんて知らないけど、これだけは本当で真実(護り神は嘘なんか付かないからな?)
それにさ、誰だって許されたいと思う事はある。ましてやこんな戦争をしてればそれを利用してる奴なんかたくさんいるさ。
何もお前一人が気に病む事なんかない。お前だけじゃない。
だからウォーカーは普通なんだ。お前は悪くない。
「さっき、大概キテレツって言ったじゃないですか」
キテレツって言ったり普通って言ったり…どっちなんです?
はは、と先程よりいくらか年相応の笑顔。
柔らかい笑みに僅かに安堵して、ホッと胸を撫でおろすと同時に。
事実上ウォーカーを慰めたという事が、自分の柄じゃなくて恥ずかしくなったんだ。
「うるせー可愛くないガキ」
「あっ、またひどい事をー!」
なんて深い。
怖い程に深いアクマへの慈愛。
ハッピーエンドに導く者
(コイツならきっと、)
千年伯爵を破壊、出来る
Fin