頂き物・捧げ物等

□Because
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銀さんがぐーたらしてるから万事屋は暇みたいに思われてますけど、心外ですよね。

そりゃあの人朝からパチンコ行ってたり、昼間からソファでごろごろしてジャンプ読んでたり、夜に飲み屋ハシゴしてたりするからね。そう思われても仕方ないですよね、あんの駄目親父が!

まぁ実はコンスタントに仕事はあるんですよ。
基本的に3人でやるけども、地味な作業で1人で出来る内容なら、あの人必ず僕に押し付けるんだ。
「大丈夫、新八はやれる子だよ」なんて、シリアスぶって言ってんじゃねーよ!ただ仕事したくないだけだろうが!!

それでもまぁ引き受ける仕事は基本3人でやるから、そういうこと少ないから、仕事内容はほぼ平等…でもないんですよ。事務的なことは全部僕がやってるんですから!
「新八くん、君は優秀な助手だ」
なんて、こんな時だけ真面目な顔をするな!つうか肩に手を置いてくんな!

そしてさらに、僕はやることがあるんです。
いわば、家政婦?
何故か万事屋の家事やらされるんですよね。僕住んでないのに!

食事とか風呂掃除とか当番制ではあるんですけどね、銀さんと神楽ちゃんと僕とじゃ、家事に従事する時間が違います。だって銀さんはたまに原チャリで買い物にいってくれるくらいで、神楽ちゃんは定春の散歩にいくくらい。食器洗ったり、家計簿つけたり、洗濯したり、布団ほしたり、掃除機かけたり、定春に餌をやったり…お給料追加してくださいよまったく!

あーあ。
いやになっちゃうよ。
僕志村家の家事だってしなきゃいけないのに。
まったく忙しいったらない!





でも断らない自分がいるんです。
何故かって?断れない理由があるからです。強制されてるからって?そうでもありません。
ただ、断れないんです。

僕は、そんなことしか、できないから。




お仕事中に危なーい事件に巻き込まれることがあります。銀さんってトラブルを吸い寄せてる感じの人でしょ。運がないといえば運がないと言えますが。でもあの人強いから。なんとかしちゃうから。悔しいけど、どんなトラブルが舞い込んできたって、のらりくらりとかわせる人だから。



僕は、自分が意味のない存在だなんて思わない。
僕がいなかったらボケが飽和して爆発してますよ万事屋は。まぁボケが爆発なんてしませんけど、例えです例え(自分のおかしな言葉にさえ律儀にツッコミいれちゃうツッコミ気質な僕!)
それに化け物なみに強いからって金が舞い込んでくるわけじゃないし。あの人普通の生活力が欠けてるし。だから僕がそこを補うんです。とっても大切なポジションでしょ!
だから、自分がいやだ、とか、強くなりたい、とか…本当は思うけど、ならなくたっていいんです。






だけど、やっぱり足手まといにしかならない瞬間、波のように押し寄せてくる罪悪感に、平気な顔できるほど神経太くないんでね、僕は。
守られて、かばわれて、僕は見てるだけなんだ。

つらいよ。
僕だって大切な人を守りたい。
いる意味がない、と実感することほど、やるせない時はない。

平気なフリも出来ないくらい落ち込んで、でも僕が弱い自分に嫌悪してることは自分勝手なことで、そう思うからさらに自己嫌悪して。あぁ負のスパイラル。

ずーん、としてたら、銀さんと神楽ちゃんが隣に立った。


「新八、悪かった」
「…うん、ごめんネ」


へ、と間抜けな声が出てしまった。どういうことだ。何故二人が謝るの?二人の顔を交互に見たら、真剣な表情をされる。

「俺達、自分が暴れるのに夢中だった。お前の見せ場奪ってごめん」
「ただでさえ地味で存在を忘れがちの駄眼鏡の出番を奪ってごめん」


二人はペコリと頭を下げた。
僕は皮肉を言うなと腹を立てたらいいのか、面白い冗談ですねと笑えばいいのか咄嗟にわからなかった。

銀さんはわざとらしく深刻な顔をしたままだ。しかし神楽ちゃんは少し笑っている。

僕はなんだかアホらしくなって、二人の頭をはたいた。

「ホントですよ!次から僕の活躍できる場所も残しといてくださいよ!」


二人はニンマリと笑って、ラジャーと言った。

「じゃあ新八くんの出番を与えよう」
「なんですか」
「飯!!」
「ふざけんな!」







愛想つかされないのはなんでだろう、とたまに考える。そんな時、僕は自分が、例えばぐーたらした銀さんを、遊んでばかりの神楽ちゃんを、嫌いになるかどうかを考える。

ありえない。

という結論にいたる。

理由はよくわからないけれど、愛想をつかすわけないんだもの。だから。

(一緒だと思っていいのかな)




結局優しい僕は、たっぷり暴れた二人のためにたくさんご飯を作る。二人はうまそう、とはしゃいで、今にも箸をつけそうだ。
「駄目ですよ、いただきますをしてから!!」
「「はーい」」

お行儀よく僕が準備し終わるのを待っていた神楽ちゃんが言った。

「新八、マミーみたい!」
「え?やだよお母さんなんて!」
「なんだヨ、じゃあおにーちゃんって呼んでほしいのカ?それが萌えなのカ?あ?」
「呼ばんでいいわ!」
「なら俺は?」
「さしずめ働かない駄目亭主ってとこですかね」
「ひでえ!」




いただきます!!

声を合わせて、胸にすとんと落ちてきたものがある。

理由が、わかった。



「新八?」
「あ、なんでもないよ」



恥ずかしくて口にだして言えやしないから、心の中でね。

これからも、一緒に!




『Because,We Are Famiry!』





END





 

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