頂き物・捧げ物等

□ぐらぐらぐら、目眩。
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(まるで水中にいるみたいに、)
(目の前が揺れて、息が苦しい)





「またな、井上」

「うん、またね黒崎くん!」


ホームルームの後。
くあ、と欠伸をして下校する為鞄に手を掛けた橙色を横目で見た。ついつい目で追ってしまうあったかい色。髪の色だけではなく、仕草や性格まで温かい人なのだから困ったものだ。今日も今日とてその派手な色に見入っていると、視線を感じたのか彼がこちら側をチラリと見た。慌てて顔を背けると、教科書を鞄に入れるフリ。危ない危ない。目が合わなかったことにホッとするだなんて。ああ、今までこんなことあったっけ?

ホッとしたのもつかの間、またなと声を掛けられた。肩がビクついたんじゃないかと不安になったがなんとか平静を装って元気に返事をする。自分で言うのもなんだけど、中々の演技力かもしれない。あたし女優になれるかも!とたつきちゃんに笑顔で言えば、アンタは作った顔なんかしなくてもそのままで良いよと頭を撫でられた。…辛そうな表情。何だか泣きそうになった。


いつまでも、いつまでも。
ずっと追っていたかった。

でも恋い焦がれたあの大きな背中の隣に「あたし」は居なかった。あの場所は自分の居場所ではなかった。もうとうの昔に、あの強く優しい眼差しを持った黒髪の女の子の特等席だったのだ。


何時からそうだったのかなんてわからない。初めてあの少女と逢った時から二人の間にはあたしが入り込めない何かがあった。いつもあの二人を見てきた。大好きな男の子を、大好きな友達を。その大好きな男の子があの女の子を見る目は温かく、包み込むような目だった。


始めからわかっていた。
適う筈がないと。
始めからわかっていた。
大切な存在なんだと。


それでも、望まずにはいられなかった。願わずにはいられなかった。橙色の隣が居場所になることを。いつの日か振り向いてくれることを。

『嫉妬』という醜い感情を感じて、その度に大好きな友達の顔が浮かんで、何回自己嫌悪に陥ったことだろう。



(あたしは朽木さんも好きなのに)
(どうしてこんな、)



ふと窓の外を見れば、先程まで近くに居た青年。隣には黒髪の少女が居て、胸が焼けるように痛んだ。



(さっきまで手を伸ばせば触れられそうな距離だったのに)



今は、ひどく遠い。









title:リッタ様
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大変お待たせ致しました!
姫佳様リクエストの織姫→一護(→?)ルキア、嫉妬する織姫です!

ど、どうでしょう?
リクエスト通りになっていますかね?(ドキドキ)

一護にとって織姫はクラスメイト兼仲間でしかなく、ルキアは大切な存在。救いのない完全な悲恋になってしまいましたがいかがでしょうか(汗)

お待たせした上とんでもない出来ですが…宜しければお持ち帰り下さい。

姫佳様のみ苦情は受け付けます。勿論返品して下さっても大丈夫です!

フリリク企画参加、ありがとうございました!






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