頂き物・捧げ物等

□ミルクレモンティーの憂鬱
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(キリ+モル+トピ)



「…はあ…」



よく晴れたお昼時のこと。
モルテが大好きなものをたくさん詰め込んだ具だくさんのサンドイッチ(キリエの自信作である)を持って、どこかにフラッと出掛けて行ったモルテを探しに行った。

そして、向こうの原っぱで座っているモルテを見付けて声を掛けようとした時、吐かれたため息に少年は目を見開いた。








"芯が強く気丈な女の子"
それが人からどんな人?と聞かれた時に、一番最初に答える彼女に対する少年のイメージだった。どんな時にも自分の信じたことを曲げずに貫こうとするその姿勢には、強く憧れる。勿論怒ると怖いとか、笑うと可愛いとか、本当は優しいところもあるとか、『彼女』という人を表現する言葉を挙げるならばキリがないのだが(一部本人に聞かれたら怒られそうな言葉があったのは、深い意味はなく無意識であるので許して欲しい)


臆病で、つい周りに流されがちな自分をいつでも引っ張っていってくれる『モルテ』。あまり弱みを見せない彼女がため息だなんて…どうしよう、と少し離れた場所でうろちょろしながら、掛ける言葉を探そうと頭をフル回転させた。



───と、



「モルテ。何をそんなところで黄昏ているクマ」

「…トッピー」



何と声を掛けたら良いのか迷ってるうちに、どこからか現れた(実際には普通に歩いてきたのだが、キリエは悩んでおり気付かなかった)ぬいぐるみ…失礼、ハードボイルドな可愛い男、トッピーが先にモルテに声を掛けたのだった。



(………あ。先越されちゃった)




何となく残念に思っていると、気配に気付いたのかトッピーがこちらに視線を向けて表情を和らげた。



「…キリエがサンドイッチを持ってきてくれたみたいだクマ」

「ごめん、気付かなかった」

「あ、えっとー…うん。モルテ、ご飯にしよ!お腹空いてない?良かったらトッピーもどう?」



正直、このままでは会話に入っていけなさそうだったので、話し掛けられたことに内心ホッとする。サンドイッチがこんもりと盛られた皿を目の高さまで上げて、二人のほうまで。真ん中に皿を下ろすと、トッピーが最初に手を伸ばした。


「一つもらうクマ」

「うん!作り過ぎちゃったからたくさん食べて〜!」

「…ちょっとキリエ、コレ本当に人数分なの?作り過ぎたって言っても、どう見たって限度超えてるじゃない」



トッピーに続いて一つサンドイッチを手に取ったモルテが、皿にこんもりと盛られた真っ白い山に怪訝そうな顔をした。その言葉にキリエは笑みを浮かべる。



「うん、モルテたくさん食べるかなーって…」

「……へえ。私が大食いだって言いたいの?」


刹那、自分に向けられた冷やかな目線。
必殺、モルテの絶対零度の眼差しだ。その冷やかな眼差しに、自分が今発言した言葉は軽はずみだった…失言だったのだと気付いた。トッピーが同情するようにキリエをポン、と叩く。

冷や汗を浮かべながら、この状況を何とかしようと慌てて言葉を並べる。



「うわわわごめんごめんごめん!」

「……」

「そ、そういう意味じゃなくて…そう、ホラ!モルテの好きなものをたくさん…!」

「‥冗談よ」

「…へっ?」

「分かってるわ。…ありがと」



薄く笑うモルテに見惚れて、頬をほんのりと染めたキリエに『現金だクマ…』と二人を見上げながら呟いたのはトッピーだ。つい先程まで恐怖で震えていたというのに…これが惚れた弱み、というやつなのだろうか。やれやれ、と肩をすくませる。



「ところで、さっきの話の続きだが…」

「何を一人で黄昏ているクマ、でしょ」

「クマ…」



台詞を取られて少ししょんぼりとしたトッピーを後ろからギュッと抱き抱えながら(勿論離せ!と抗議されたが)、キリエはモルテを見つめる。



「…別に、黄昏てなんかないわよ」

「モルテ」

「……」

「モルテ、話して」



出来るだけ優しく、言葉を紡いだ。大好きなモルテが元気がないのは、とても悲しい。それはトッピーも同じなんだと、言葉を選びながら。




「‥今、ね。私幸せなの」




暫く黙り込んでいたが、観念したのか俯いたモルテからポツリポツリと聞こえてきた声を、一言も聞き逃さないように、キリエとトッピーは耳を傾けた。



「こうして貴方達と居れることが…くだらないことを言い合って、笑い合えることが」



彼女の肩が、震えた。



「だから、少し怖くなっただけ」



"幸せ"は簡単になくなってしまうんだと知っているから。失ってしまうのが怖い。いつか無くなってしまうんじゃないかという幸せに慣れてしまうことが、怖いのだと。



「…こんなの私らしくないわ。…今のは忘れて」

「モルテ」

「……ホラ、早くサンドイッチ食べないとダメになっちゃうわよ」

「‥モルテ」




キリエはトッピーを抱えたまま潰さないようにモルテを抱き締め、トッピーもそのまま、モルテに腕を回した(まるでしがみ付いているようになってしまったが)




「ちょっ、と…なに…?」

「ねえ、大丈夫だよ。モルテ」

「…キリ、エ…?」

「例えモルテが嫌がっても、そう簡単には離れてやらないクマ」

「トッピーまで…」

「約束するよ、モルテ」




(ずっと、一緒だよ)





(…バカ!出来そうもないことを約束するんじゃないわよ!)
(出来るよ。だってボク達モルテが大好きだもの)
(だ…っ、それになんの根拠があるの…!)
(お前の性格は知っている。放っておいたら何をするか分からないクマ)
(どういう意味よ!あーもう離しなさいってば!)
(それにしてはモルテ、顔がにやけてるクマ)
(…っうるさい!)


fin.


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盈月様!
本当に本当に、大変お待たせ致しました…!申し訳ございませんっ(土下座)リクエストして頂きました、『アニメの撲滅委員会3人』です!

拙い作品で申し訳ありません…ですが盈月様への感謝の気持ちと、ずっとずっと幸せに3人で居てほしいという管理人の願いも詰まっています!

こんな作品ですが、宜しければお納め下さい…!本当に申し訳ありませんでした(><)そして、これからも宜しくお願いします…!私生活が多忙かと思いますが、あまり無理をなさらないで下さいね!

それでは、これにて。
リクエストありがとうございました!

(title:透徹様)

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