Short Story3

□副委員長の悩み事。
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「ごめんなさい…」



真っ白で消毒液の匂いが鼻を突く室内。この部屋にコイツと一緒に入るのが、なんとなく苦手だった。

同じ色をしたベッドには、さらに白い肌をした幼なじみ。そのまま溶け込んで消えてしまいやしないかと、柄にもなく不安になってみたりする。



「んな顔すんな。別に怒ってなんかいねェよ」



不安げに瞳を揺らすその紅い眼は、弟を彷彿させる。視線を感じて話ながらも目線を反らすのは、まともに顔を見ながらの会話は自分の苦手分野だから。目のやり場に困ってたどり着いた場所は真っ白なカーテンだった。


…我ながら、情けなく思う。




「‥嘘つき」

「嘘なんかついてねェ」

「本当ですか?」

「怒る必要もねェだろ。ただ心配しただけだ」



フフ、と瞳を和らげて言う。
私は貴方に心配を掛けたのだから怒ってくれても構わないのに、と。



「反省してるヤツを叱れるか」

「あら、そーちゃんだって反省してるのよ?」

「アイツは別だ」

「ふふ、」



微笑むミツバに安心して、まあそんなに喋る元気があるなら大丈夫だな、と一息ついて席を立つ。




(本当に優しい人)
(もう心配はかけないわ)
(絶対に)




後ろで小さく呟かれた言葉に、扉を開けかけた手を止めた。優しいのはお前だよ馬鹿。



「心配ぐらいさせろ」

「…十四郎さ、」

「お前は周りに気を遣い過ぎなんだよ。もっと寄り掛かれ」




ミツバに背中を向けたまま。
ああ、顔が赤くなったりしていないだろうか。栗色の少女が驚いている様子を背中で感じて、かなり気恥ずかしく沸いた羞恥心。

「お前の鞄取ってくる」とだけ言い残し、保健室をあとにする。



先程の少女──"沖田ミツバ"の鞄を手に取り、かなり重たいため息を一つ。いくらため息をつくと幸せが逃げると言われていてもつかずにはいられない。ため息をついても仕方がないではないか、今回ばかりはいくら「鬼の風紀副委員長」といえどお手上げだ。





「次どんな顔して入れば良いのかわかんねぇ……」






(ヘタレ過ぎて嫌気がさしてくる)





(土方さん聞きやしたぜ)
(テメッ、いつからそこに居やがった!?)
(『んな顔すんな』から)
(最初っからじゃねェか!!部活はどうした)
(土方の分際で姉上を慰めやがってコノヤロー)
(俺の存在を全否定かコラ)
(姉上と2人で帰るなんて俺が許しまへんえ)
(食堂のおばちゃん!?!)




Fin


─────
そのあと神楽が来て結局喧嘩しながら帰る二人← (その辺はまあここおっかぐサイトだからね 笑)

だから土方くんは保健室まで迎えに行って、無事ミツバちゃんと一緒に下校出来たのでした(^^*)

ミツバさんが保健室に居たのは熱射病か何かです。元々身体が弱いから余計に心配しちゃった土方さんでした(><)

うちの土方は基本ヘタレ←



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