Short Story3

□夢現心中
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(例えば、)

一緒に見る夕日の色とか。
一緒に食べる昼食の味とか。


(例えば、)

屋上から見る景色とか。
二人してつく悪態とか。


(例えば、)

放課後のチャイムを合図に走り出す自転車とか。
自転車を漕ぐ背中の温かさとか。


傘を忘れた夕立。
喧嘩して叱られたこと。
雨上がりの校庭の匂い。
靴の音が響く体育館。


時々優しく感じた大きな手。
時々柔らかく響いた低い声。




「ぜーんぶ無くなってっちゃうアルな」




感傷に浸って呟いた言葉は吹いた風にかき消された。もうじき沈む真っ赤な光に目を細め、肌寒いなと肌を擦る。すると途端に温かくなった肩と背中。嗚呼、それは隣に現れた憎たらしい栗色の所為か。



(私の肩に生意気にも上着を掛けやがった!)



「なーに感傷に浸ってんでさァ。馬鹿みて。テメェのキャラじゃねーだろ」

「その台詞、そのまま金属バットで打ち返してやるヨ」



そのままジッと目に痛いぐらいの赤を睨み付けていると奴は少しだけ噴き出して、一歩、また一歩と私との距離をつめていった。



「…ずっとこうしてられるって、どこかで思ってたネ」



ピタリと、奴の足が止まる。
それは手を伸ばせば触れることが出来るような距離。



「ずっと、ずっと…何も変わらないんだって思ってたネ」




だけどそれは違った。
気付いてしまった。
"永遠"なんてないんだということに。



「少し…寂しくなっただけヨ」



変わらないと思っていた。
だけど確実に時間は流れていた。
いつまでも同じところに、留まれはしない。



「…永遠なんてモンはねェよ。そりゃあ所詮、ガキの夢物語だ」



もう一歩、近付く。
もう、逃げることは出来ない。



「いつかは"大人になる"って、案外身近に感じたろ?」

「…おう」


おずおずと顔を見上げる。
沖田の目は夕日と同じ色をしていた。


「俺も寂しくねェっつったら嘘になる。何も変わらねェものはねェよ。…けどな、」



ボスッ。
頭に手を置かれて乱暴に髪を掻き混ぜられる。



「少なくとも俺とお前は変わらねェよ」



(俺達はこれからも喧嘩したり、一緒にゲームしたり悪態つき合ったりする)



「残念なことにテメーとは長い付き合いになるみてェだし?」



まるで悪戯を思い付いた子供のように、意地の悪い笑顔を浮かべて並べた言葉。先ほどまで夢物語だとか、変わらないものはないとかほざいてたのは何処のどいつだ。



「…アホアルか。お前とこの先ずっと一緒だなんてんなモンこっちから願い下げアル」




へーへー、なんて隣では気の抜けた声。腹が立ったから足を思いっきり踏ん付けてやった。









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イメージしたのは"時かけ"
青春な日々を青臭く描けてれば良いな。







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