Short story2

□今はもう届かない
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※ネタバレ注意。
※乱←市(→)←砕
※死ネタ






(なァ。キミはボクのこと怖ないんか?)
(何故)
(あァ…よく人に恐がられるんや)
(その笑みを止めれば良いだろう)
(え、顔の問題なん?)
(…ふ)
(……二番隊長さん。ボクは怖い)
(ん?)
(ボク自身が、怖い)



今思えば。
あの時自分自身を怖がる理由を、聞きそびれてしまっていた。何を馬鹿なことを、そう思って軽く流していたから。



(二番隊長さんは幸せにならなアカンよ)
(……貴様はならぬのか)
(ボクは無理やから、代わりに。な?)
(素直に私が命令に従うとでも?)
(命令ちゃうよ、お願いや)
(…勝手な奴だ)




本当は惹かれていた。
強く強く、恋い焦がれるぐらいに。だがその思いの丈を素直に表わすことは、私には難し過ぎて。気付いた時には、もう。



(市丸、お前は)



十番隊副隊長・松本乱菊と幼なじみと聞いていた。奴は、最初から松本を笑顔にするために。その為だけに、尸魂界を…死神を裏切って。



(乱菊を泣かす奴は嫌いや)
(悲しませる奴も)
(せやからボク自身も好きやない。本当は還りたかった。…けど、資格なんかない)



(乱菊と昔みたいに笑って幸せになる権利なんか、ない)




「──馬鹿、者」




全てが終わった後に見た市丸は、元々白かった肌が更に白くなっていて。温もりも、なくなっていて。


何故こうなった?自分勝手も大概にしろ。貴様の傍で泣いている松本が見えんのか。もっと他に方法があったのではないのか。


‥苦しい。
心の中が騒つく。鼻の奥がツンとして、目頭が熱を持った。

あんなうつけ者の為に流す涙など、持ち合わせてはいない筈だったのに。




「…市、丸」




一番最後に見た表情はどんな表情だっただろう。今はもう、白く霞んで思い出せない。




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突発文。
市丸と乱菊さんについては…切なくて何も言えなくなる。

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