Short story2
□可愛いのは僕の姫
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「明日天気になあれ!」
「なんでィ、そりゃ」
黒いクリクリの目。白くて丸っこい頭でっかち。首の辺りには窮屈そうな首輪(に見えなくもない)。あーこりゃ絶対窒息するぜィ俺だったらゴメンだな、なんてごたくを並べるのは得意な俺。
ジメジメしたこんな季節だからこそ、奴はそれ(お世辞にも器用とは言い難い代物だ)を作ったんだろうけど。
そんなものを作るより、せっかく二人で部屋に居るんだ。構って欲しいのに(絶対口には出せないが)。
…なんて思っていた事は、次の神楽の台詞で吹き飛んだ。
「そーご坊主ネ」
「……は、?」
今、この少女はなんと言った?[そーご坊主]…?
聞き間違いじゃないかと思いながらも頭で何回も復唱。さらには本人までもう一度聞き返す。だがやはり少女は笑って「そーご坊主」だと答えるばかり。
よく見れば、確かに。
短い髪の毛に大きな目、さらには御丁寧に首から下の部分が黒く塗り潰されていて。
……マジですかィ。
「…で、こっちのが私!」
その声に顔を上げれば、もうかたっぽの手にはもう一つ。確かに神楽だ。
神楽が大切そうに二つを隣同士にする様子に、沖田は目を細めて口元を緩めた。
「可愛いでしょ?」
「……ん」
「あ、照れた」
「…るせェや」
お前のほうが可愛いなんてとてもじゃないがこっぱずかしくて言えない。なんと小さな勇気だろうか。
彼女もこんな事をするのかと。普段中々見る事の出来ない幼く可愛い部分を見た気がして心臓が跳ねた。そしてそれは暫くは治まりそうもなく。
あーチクショー。
小さな少女をギュッと強く腕の中に閉じ込めた。
可愛いのは僕の姫
(不意打ちは反則だ心臓が持ちません!)
なんでてるてる坊主なんて急に作ったんでさァ?
明日晴れたらそーごと一緒にどこか行けるだろ?ピクニックとかしたいアル!
…!!(キュン)
Fin