Short story2

□幸福ラプソディー
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『神楽ちゃーん、ご飯だよー』



『…んあ?』






ピクリ。
新八の声と台所から漂う醤油の匂いで目が覚めた。






今日は昼間から公園で遊び通しで。自然に瞼は重くなり、帰ってからは爆睡状態。何気にわが家は門限が5時まで(銀時はそういうところはうるさい)と決まっていたりする為、それもきちんと守っていたりする訳で。我ながら偉いもんだと感心する(とか言いつつも門限を破って変なオッサンが出たりすればそれはそれなりに怖い)






『オイ神楽ァ。テメェいつまで寝てやがんだコノヤロー。晩飯が冷めちまうだろーが』






寝ぼけ眼を擦りながら居間に足を運ぶと、天パのオッサン(これは不審者ではない)が不機嫌そうにイチャモンをつけてきた為、ペッと唾を吐いておいた。






『テメッ、何しやがんだコルァ!!』


『うっせェヨ天パが。頭ガンガンするから説教すんじゃねーヨ。こちとら寝起きアル』


『どこのヤンキー!?酔っ払いの二日酔いみてェな事言うんじゃねーよ!おもいっきし八つ当たりじゃねェかこの酢昆布娘!』


『あん?やんのかコルァ。この天パ糖尿星人が』



『何その言い草!?何一人で大きくなりましたみたいな顔してんの!?そんな風に育てた覚えはねェぞコルァ!』


『育てられた覚えもねェヨ』


『ちょ、新八ィィィ!娘が反抗期なんですけどォォォ!』




とうとう口では勝てなくなったのか、銀時は情けない声を発した。
その声に台所からヒョイと顔を出した新八。その光景を見た途端、呆れ顔になったのは言うまでもない。





『ちょっと…何やってんスか』


『何やってんスかじゃねェよ新八くん!アレだよ、神楽が反抗期なんだよ!』






ちらりと二人を見遣っていつもの事でしょとさらりと言って退けまだ台所に戻っていく(それほどにバイオレンスな口喧嘩[足も手も最終的には出る]は日常茶飯事なのだ)万事屋の母親的ポジションの新八に、何故だか泣きたくなった。






『そろそろ喧嘩やめて運ぶの手伝わないとご飯抜きにするよ』



『『マジでか』』





その言葉にしぶしぶ重い腰を上げた二人に、新八は苦笑いを浮かべた。




『新八ィ、今日の晩飯は何アルか?』


『んー?今日は煮物だよ』


『キャッホゥゥゥ!』






煮物という単語に敏感に反応してくるくる回る少女に、銀時は怠そうに溜息を1つ。




『まだまだガキだな、』






その直後、神楽からパンチを喰らったのは言うまでもない。






幸福ラプソディー

(こんな日常がとても幸せだったり、)






Fin








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家族な万事屋3人。

ぱっつぁんは万事屋でお母さんだけどお兄さんな役割でもあるんだなぁ…と思います^^
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