Short story2

□僕らの帰る場所
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「いってらっしゃい」と「いってきます」






「ただいま」と「おかえり」







この言葉を言う事がこんなにも嬉しくて幸せなんだという事を、長い間忘れ掛けていたんだ。











僕の家族、マナ。
小さい頃に拾って、育ててくれたただ一人の家族。







(奇怪な腕を持って生まれて捨てられた僕を、育ててくれた。溢れんばかりの愛情を与えてくれた)








それは確かに豊かな暮らしではなかったけれど、暖かくて、ただ幸せだった。





あの頃の僕は、マナが全てだった。彼だけが僕の世界の全てで、







「おかえり、アレン」



「…ただいま、」







深い深い傷を負った心をそれは優しく包み込んで





(だけどそれを僕が奪ってしまった)





マナを失ってからは、一度は色を取り戻したハズの僕の世界は再び色を失った。






ただただ心が痛んで悲鳴を上げて(苦しい苦しい苦しい 苦しいよ)





どこまでもモノクロの世界。何も見えなくて、視界が涙で溢れた。






僕が、マ ナ を 壊 し て し ま っ た





(なんで僕が生きてるの?)








涙を拭う事も忘れて人形のようにそこにただ座り込んで、何日も泣いて声も枯れて出なくなった頃。



クロスという師匠に出逢った(この人は悪魔だけど、出逢っていなければ僕はいつまでもそのままだっただろう)





そこでアクマの事も、それと戦うエクソシストの事も学んで修業を受けた。





マナにしてしまった事は許される事じゃないから、(許されるハズはないから)それを背負って生きていく。アクマを救う、それだけが僕の道標。





それからエクソシストになって、教団に行って(それまでに様々な災難に遭っているけれど)。
たくさんの仲間達と出逢って。







マナを亡くしてからずっと、心のどこかで求めていたものは







(おかえりを言ってくれる人)







任務から帰ってきて真っ先に言われた温かい言葉に胸が詰まったのを覚えてる。







「おかえり」



「…ただ、いま」









何年振りだっただろう、『おかえり』と言われたのは






何年振りだろうか、『ただいま』を言ったのは





「おかえり、アレン!」



「ただいま…!」







どうしようもなく愛しくて、温かい場所。
懐かしさにまた胸が詰まったけれど、それは嫌じゃない。




また笑顔で温かい此処に帰ってくる為に、(もっともっと強くなりたい)








僕らの帰る場所

(僕にとって、大切な場所が出来ました)







――――――――――

アレンだけじゃなく、教団はみんなの家で家族であって欲しい。


コムイさんは家族(仲間)一人一人の事をよく理解していて温かい人なので、みんなのお父さんなんだと思ってます。
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