Short story2
□水色模様の、
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まあ所謂、くされ縁みたいなもので。
親友とか友達とかよりも、上下関係が出来ちゃってるような仲で(勿論彼はそんな事気付いちゃいないだろうけれど)
「…啓吾」
「お、水色ォ!!」
しまった。
黙って通り過ぎるんだった。大して興味ない参考書を買った帰り道。ぼんやりと橋の辺りで見つけた人影は、良く見知った背中で。
ポツリと名前を呟いてしまったのがいけなかった。こんな時だけ地獄耳なんだから。
「何してるの?」
「いや、それが聞いてくれよ水色!なんか退屈でさ…」
「…そう」
全く相変わらずなんだから。退屈なら勉強すれば良い。もう直ぐ、高校3年にもなれば1年だってあっという間に過ぎるのに。
それなりに勉強をして、それなりに良い大学に入って、特に目立つ事なく。
普通に、普通に…
(なんてつまらない)
(本当にそれで良いなんて、思わない)
でも出来るだけ、当たり障りのないように生きていく為の術がこれだ。
(結局のところ、僕は無力って事)
別に出世したいとか思わないし、そんな事には興味は無いんだけど…
「水色は帰りか?」
「うん。まあね」
もう直ぐ。すぐだ。
一護とも、啓吾ともチャドとも別々になる。もう馬鹿ばかりやってた日々は思い出になってしまう。
「そんなとこでボーッとするヒマがあったら勉強しなよ。もう直ぐテストでしょ?」
「い、嫌な奴だな!!せっかく忘れてたのにーーー!!!」
「アハハ、だと思った」
(それが今から寂しいなんて、言えない。離れるのが嫌だなんて思ってるなんて)
らしくないし柄じゃない。
でも、仕方ないのかもしれない。
水色前奏曲
(いつの間にか僕にとって、とても大切な人達になっていたんだから)
Fin
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水色+啓吾。この二人好きです^^
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