Short story2

□水色模様の、
1ページ/1ページ






まあ所謂、くされ縁みたいなもので。



親友とか友達とかよりも、上下関係が出来ちゃってるような仲で(勿論彼はそんな事気付いちゃいないだろうけれど)





「…啓吾」


「お、水色ォ!!」




しまった。
黙って通り過ぎるんだった。大して興味ない参考書を買った帰り道。ぼんやりと橋の辺りで見つけた人影は、良く見知った背中で。




ポツリと名前を呟いてしまったのがいけなかった。こんな時だけ地獄耳なんだから。





「何してるの?」


「いや、それが聞いてくれよ水色!なんか退屈でさ…」


「…そう」





全く相変わらずなんだから。退屈なら勉強すれば良い。もう直ぐ、高校3年にもなれば1年だってあっという間に過ぎるのに。




それなりに勉強をして、それなりに良い大学に入って、特に目立つ事なく。




普通に、普通に…







(なんてつまらない)
(本当にそれで良いなんて、思わない)





でも出来るだけ、当たり障りのないように生きていく為の術がこれだ。






(結局のところ、僕は無力って事)







別に出世したいとか思わないし、そんな事には興味は無いんだけど…




「水色は帰りか?」



「うん。まあね」





もう直ぐ。すぐだ。
一護とも、啓吾ともチャドとも別々になる。もう馬鹿ばかりやってた日々は思い出になってしまう。




「そんなとこでボーッとするヒマがあったら勉強しなよ。もう直ぐテストでしょ?」



「い、嫌な奴だな!!せっかく忘れてたのにーーー!!!」



「アハハ、だと思った」




(それが今から寂しいなんて、言えない。離れるのが嫌だなんて思ってるなんて)





らしくないし柄じゃない。

でも、仕方ないのかもしれない。





水色前奏曲
(いつの間にか僕にとって、とても大切な人達になっていたんだから)






Fin




────────

水色+啓吾。この二人好きです^^


.

 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ