Short story2
□来世で逢えたら、
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きっと きっと。
ずっと言いたかったことがあるの。
貴方にあの時突き放されてから、貴方にまた出逢うまで
ずっと、ずっと。
私は貴方の事が大好きでした。だから、貴方の事はよく解っているつもりだった。
貴方は優しい人でした。
だからこそ、私のことを突き放すこともわかっていたの。
貴方は不器用な人でした。本当は誰よりも相手を想っているけれど、それが上手く伝わらない。
不器用な人。本当に不器用な人。でもそれがたまらなく愛しかった。
(でも貴方が誰より優しい人だって、私は知っていたわ)
ごめんなさい。
私の気持ちを告げたなら、貴方を困らせてしまうだけだったのもわかっていた。
だけど、どうか許して下さい。
あれは私の気持ちに区切りをつける為だったから。
貴方は後ろを振り向かずにずっと前を向いて歩いて行く人。振り向いてくれないなんて始めからわかっていたから。
これは、最後の我が儘。
私はこんな身体だもの。いつどうなるかなんて誰にもわからないから、せめて、
(伝えたかったの。報われなくたってよかった)
本当は気持ちを伝えなくたって、ただ側にさえ居られれば、それでよかったのに…
ついて行けないから、せめて
せめて、貴方の温かな背中を見送らせて下さい
何も出来ないから、せめて
私の心も持っていって下さい
そして出来れば、此処に貴方の無事を祈って過ごしていた女がいたということを
(忘れないで)
…ごめんなさい、1つだけ嘘をついたわ。
さっき気持ちの区切りをつける為だなんて偉そうな事を言ってしまったけれど、未だに貴方への想いを思い出に出来ない私が居るから
せめて来世で、
来世でまた貴方を見付けたら、また貴方を愛しても良いですか?
予感がするの。
私はまた貴方に、何度でも何度でも───
ねえ、
ずっと言いたかったことがあるの。
貴方にあの時突き放されてから、貴方にまた出逢うまで
ずっと、ずっと。
貴方の事が大好きでした。
貴方のおかげで、とっても幸福だったって。
(最後まで自分勝手な私を許して下さいね)
Fin
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土←ミツ
ミツバ編を見返したら、書きたくなった突発文。